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2023年8月7日(月)

主張

マイナカード迷走

保険証存続が唯一の解決策だ

 岸田文雄首相が4日の記者会見で、2024年秋に健康保険証を廃止する方針に変わりがないことを表明しました。マイナンバーカードのトラブル多発を受けて「不安を払拭する」ということでしたが、廃止の撤回を求める国民の声に逆らう姿勢に終始しました。「マイナ保険証」を持たない人全員に資格確認書を交付して対応すると言います。取り繕おうとしても迷走を重ねるだけです。保険証存続が唯一の解決策です。

国民の不安わからぬ首相

 マイナカードに誤ったひも付けが相次いでいることについて首相は「おわび」しました。しかしその後述べたのは、あくまでもマイナカードを国民全員に持たせる方針です。「普及の進め方に瑕疵(かし)があったとは思わない」と反省がありません。

 コロナ危機対応での「デジタル敗戦」を繰り返さないためにマイナカードが必要だと強調しました。こじつけです。マイナカードが大混乱を引き起こしている現状こそ「デジタル敗戦」といえます。

 マイナカードの「メリットを実感していただく」とも述べました。保険診療に支障をきたしているから世論調査で7割超が保険証廃止の撤回・延期を求めているのです。国民が何に不安を募らせているか、首相は分かっていません。

 医療機関の窓口で保険資格を確認できなかったり、医療費の負担割合が間違っていたりすることが絶えません。マイナ保険証の運用は停止すべきです。

 首相が利点に挙げた、転職の際の切れ目のない保険証の移行や重複投薬の防止は現行の保険証やお薬手帳を使って実施されています。マイナカードに一体化しなければできないことではなく、まして廃止の理由になりません。

 マイナ保険証を持たない保険資格者すべてに、本人の申請なしで資格確認書を送り、有効期間を最長5年に延ばすという方針は新たな混乱を生むだけです。保険証を存続させれば不要です。

 必要となる資格確認書は数千万枚とみられます。有効期限ごとに更新が必要です。業務を担う保険組合や自治体の負担は膨大です。

 「(保険証の)廃止時期の見直しありきではない」と言いましたが、資格確認書自体が廃止のための対応です。

 資格確認書はマイナ保険証を持たない人が対象です。マイナカードで保険資格が確認できず「無保険」扱いになるトラブルは解決できません。

 結局、なぜ保険証を廃止しなければならないか、首相は説明できませんでした。「選ばれるマイナ保険証を実現していきたい」と述べましたが、保険証をこれまで通り使いたいという選択肢を奪っているのは岸田政権です。

廃止断念し根本を見直せ

 保険証の24年秋廃止は6月に成立した改定マイナンバー法で決まりました。医療や自治体の現場でマイナカードが混乱を生んでいることは審議中、明らかになっていました。にもかかわらず改定を強行した誤りを、岸田政権、与党、賛成した党は認めるべきです。

 廃止時期の見直しについて首相は、今行っている「総点検」後に対応する考えを示しました。

 マイナカードの利用拡大は、すでに破綻しています。保険証廃止をすみやかに断念し、カードのあり方を根本から見直すべきです。


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