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2023年8月5日(土)

きょうの潮流

 「涼しいエアコンの中で観戦している人には分からないのでしょう」。6日に開幕する全国高校野球選手権の試合開始時間をめぐる、青山学院大駅伝部の原晋監督のツイートです。3日の抽選会を見ながら、やはり、分からなかったようだと落胆しました▼4試合が組まれている日は午前8時に始まり、日中も試合が途切れません。決勝戦はおそらく1日で気温が最も高い時間帯の午後2時に開始。すべて例年通りで、近年の酷暑は何ら考慮されていません▼選手以上に過酷なのが観客です。「銀傘」と呼ばれる屋根に覆われているのは内野席まで。各校の応援団が座るアルプス席はさえぎるものがありません。銀傘はかつてアルプス席までありましたが、戦時中の1943年、金属供出のため取り外されました▼環境省の熱中症予防指針を見ても、31度以上は「激しい運動は中止」です。長期予報を見ると、甲子園球場周辺は35度前後まで上がる日が多い。せめて、早朝やナイターの時間帯中心にすべきです▼高校生たちに、命の危険さえ感じられる時間帯での全力プレーを求めているのは、それを美談として描いてきたメディアなどおとなたちです。灼熱(しゃくねつ)地獄で行われる高校野球を放送する傍ら、テロップで熱中症予防を呼びかけるNHKには、不条理さえ覚えます▼世界最高峰にまで到達した日本の野球ですが、競技人口は減少しています。暑さに耐えることを美徳とする「甲子園神話」にいつまでとらわれているのか。もはや脱却すべき時です。


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