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2023年8月4日(金)

オスプレイ低空飛行ルート

政府は公表拒むが米軍は公表が前提

マニュアルに明記

 日米両政府は、米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイが日本の山岳地帯で行う、航空法の最低安全高度(150メートル)を大きく下回る対地高度200フィート(約60メートル)の超低空飛行訓練のルートを非公表としました(7月7日の日米合同委員会合意)。ところが米海兵隊の飛行マニュアルは、ルートの公表を前提にしていることが分かりました。


地図

 日本の山岳地帯にはスキー場のリフトや送電線、林業用のワイヤなど、無数の障害物が存在します。山岳地帯を低空で飛行する消防・防災ヘリやドクターヘリとの衝突の危険もあります。全国知事会は低空飛行訓練の事前情報を求めてきましたが、政府はこれさえ拒否しています。

反対の声おそれ

 防衛省はルートを公表しない理由について、本紙の取材に、「米軍の運用に関する事項」だからだと回答。ところが、米軍の「運用」そのものを定めた海兵隊の飛行マニュアル(2020年9月10日)は、低空飛行を「制限された空域、軍事作戦区域および公表された軍事訓練ルートで実施する」と明記しています。実際、海兵隊は米ハワイ州へのオスプレイ配備に伴う環境影響評価書(12年6月)には、低空飛行訓練を行う区域の名称を具体的に記しています。

 さらに、米海兵隊は同じ12年6月、普天間基地(沖縄県宜野湾市)へのオスプレイ配備に伴う「環境レビュー」で、全国に広がる低空飛行訓練ルート(地図)を公表しました。

 米軍は日本国内での訓練を当然の“権利”とみなしており、隠そうとしていませんが、日本の低空飛行訓練ルートは“山岳地帯”といっても直下に多くの自治体が広がり、民家も存在します。12年にルートが明らかになった際、全国でオスプレイの訓練反対の声が広がりました。日本側は、こうした声をおそれ、今回は当初から非公開にしたものとみられます。

重大事故相次ぐ

 米軍機をめぐっては、▽奈良県十津川村で攻撃機ハリアーが林業用のワイヤを切断(1987年、91年)▽高知県・早明浦(さめうら)ダムでA6攻撃機が墜落(94年)―など低空飛行訓練による重大事故が相次いでいます。

 オスプレイをめぐっては、特有の欠陥である「ハード・クラッチ・エンゲージメント(HCE)」の発生で墜落や飛行不能といった重大事故が相次いでいます。高度60メートルで機体に異常が発生した場合、墜落の回避は不可能です。国民に情報を隠したまま、危険な低空飛行訓練を強行することは許されません。


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