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2023年7月25日(火)

掘削現場から高濃度ヒ素検出 北海道蘭越町

国は健康・風評被害対策を

はたやま氏ら現地調査

 北海道蘭越(らんこし)町の地熱発電の掘削現場で、6月29日に地中から蒸気が噴出し続け、高濃度(20日発表で国が定める飲料水の基準の2100倍)のヒ素などが検出されました。作業員や住民に健康被害が出ており、21日、日本共産党の、はたやま和也元衆院議員・衆院比例予定候補と丸山はるみ道議らが調査のため現地を訪れました。(北海道・中上範子)


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(写真)農業施設を見て回る(手前左から)椿、丸山、はたやま各氏=21日、北海道蘭越町

 蒸気が噴き出ている様子は大湯沼(おおゆぬま)からも見え、道道の山林を進むと「ゴーッ」という噴出音とともに沸き上がる水蒸気の柱や、道有林が変色している様子が見てとれます。

 噴射は高い時で約100メートルの高さにまで達し、櫓(やぐら)の下部温度は80度あり、夏の現場でヘルメット、防塵(ぼうじん)マスクや長袖の作業着を装着して収集作業に追われる作業員の健康も心配されます。

 三井石油開発は同日、噴出現場から約2000リットルが敷地外に流れ出たと発表。近くの温泉の源泉となっている大湯沼側に流れたとして、温泉施設のある町交流センター「雪秩父」は水質検査を続けています。

ブランド米産地

 「蘭越米」で有名なブランド米の産地の蘭越町。町中央を流れる「尻別川」は10年連続「清流日本一」を獲得し、天然のミネラルや養分を豊富に取り込み、良質な米を作る土壌となっています。

 はたやま氏らは、農家と懇談し、農業への風評被害の現状や心配ごとを聞きました。

 アイヌ語で“共に育む”という名の「ウレシパファーム」は「安全でおいしいものを届ける」を理念に環境保全型農業に取り組み、低農薬・低化学肥料の特別栽培米を全国に発送しています。

 代表取締役の椿新二氏は、全国の取引先から心配の声とともに、一部取引をやめたいと申し出があったと明かし、「町全体が汚染された印象を持っている人もいる」と告発。生産者の顔が見えるようにと届けている手紙で、噴出現場からは見えないほど離れていることや、農業用水は影響のない水系から取得していることを伝え、「安心しました」との返事が寄せられたと話しますが、一方で「長年培ってきたブランドのイメージが一瞬でなくなってしまう」と危機感をにじませました。

 「地熱発電だから原発よりも良いエネルギーなのだと思っていたら、こんなことが起きるとは。今後、発掘前の地下研究を強化するなど教訓にしなくてはいけない」と言います。

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(写真)噴き上がる蒸気と変色している道有林(右側)=北海道蘭越町

安全管理に甘さ

 噴出防止装置を700メートルで設置予定だったところ、200メートルで噴出した問題について、「これまでどこでも起きなかったからと想定が安易だったのでは」と三井石油開発の安全管理の見通しの甘さを指摘。他の農業仲間や住民に今後どのような影響が出るかとの心配や、現状で健康被害が起きている人への早急の対策を求めました。

 はたやま、丸山両氏は「早急な事態の収拾。住民の健康を第一に守る。影響のないところへの安心・安全であるとの発信を積極的にする、風評被害への対策を道や国に求め、今回のことを機に農業を続けられなくなる人が出ないよう力を尽くします」と答えました。


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