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2023年7月24日(月)

主張

第55回保育合研

学び語り合い希望を広げよう

 「第55回全国保育団体合同研究集会in磐梯熱海」が29~31日、福島県郡山市でオンライン併用で開催されます。1969年から続く保育合研は、保育者、保護者、研究者など保育や子どもにかかわる人たちが、経験、実践、悩みなどを持ち寄り、学び合い交流する全国集会です。

運動の力が政治を動かす

 「『先生、○○して!』と言われても、『ちょっと待っててね』と答えてしまうことがなんて多いのでしょう。『もう1人保育士がいたらどんなにいいだろう』と思う日々です」。多くの保育士が抱える共通の悩みです。子どもの成長・発達を保障する保育をしたいのに、それができない現実とのギャップに苦しみ、現場を離れる保育士も少なくありません。

 そんな中、「子どもたちにもう1人保育士を」と愛知県の保育関係者から始まった、保育士配置基準(保育士1人が受け持つ子どもの数)の改善を求める運動が政治を動かしています。

 政府が6月に決定した「こども未来戦略方針」で、1歳児は6人から5人、4~5歳児は30人から25人へと改善することが明記されました。世界の主要国と比べても低すぎる日本の配置基準の改善に、政府は半世紀以上背を向けてきました。その姿勢を運動が変えつつあります。ただ、今度の方針は、基準自体の改善でなく、保育士を増やした施設の運営費を「加算」する限定的な対応です。

 保育士配置基準改善を求める地方自治体の意見書は広がり続けています。6月議会では愛知県議会、宮崎、広島、北九州の各市議会などで意見書が可決されました。保育士不足がもたらす深刻な事態を明らかにし、現状打開を粘り強く求めてきた現場からの訴えの力です。基準そのものの改善を実現するために、さらに世論を広げることが必要です。

 政府が進める保育の規制緩和と公的保育の後退が、保育現場や子どもたちに重大な影響を与えています。保育施設の事故件数は毎年増え続け、保育士による子どもたちへの虐待ともいえる事案も、不適切な保育として大問題になっています。保育の事故が報じられるたび、現場の保育士たちは自分たちもいつ当事者になるか分からないと緊張を強いられています。

 まわりの保育士に、抱えている困難や悩みを打ち明けたくても、多忙さが増すばかりでゆとりがありません。一方、コロナ禍を通じて仲間がつながることの大切さを実感した人もいます。現場の苦しみの背景に何があるのか。保育と政治はつながっている。あきらめず仲間と一歩踏み出すことで変えていける。保育合研は、それを気づかせてくれる場でもあります。

仲間とともに踏み出す場

 今年の保育合研は「ゆったり、語り合おう」をコンセプトに、久しぶりに現地に全国から参加者が集まります。福島の会場に直接行けなくても、各地にサテライト会場をつくり、誘おうと努力も始まっています。それぞれの地域で学び合い、交流する場をつくっていくことが、一人ひとりに希望を広げ、社会を変える一歩を踏み出す励みとなります。

 「いい保育がしたい」「子どもたちが大事にされる社会に」と日々奮闘する人たちの大きな力となる集会になることが期待されます。


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