2023年7月21日(金)
再雇用基本給格差訴訟
「検討不十分」差し戻し
最高裁
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定年後の再雇用で仕事内容は同じなのに基本給が月18万円から8万円へと大幅に減額されたのは違法だとして、差額分の支払いを求めた訴訟の判決が20日、最高裁判所第1小法廷でありました。山口厚裁判長は、定年前の6割を下回るのは違法とした二審名古屋高裁判決を破棄し、審理を差し戻しました。
訴えているのは名古屋自動車学校で65歳まで教習所指導員だった青山治彦さん(70)と同僚です。
争点は、正社員との不合理な労働条件の差別を禁じた労働契約法の旧20条に違反するかどうかです。同条を巡って最高裁が基本給について判断するのは初めて。名古屋地裁と高裁は旧20条に反すると判断し、基本給が定年時の6割を下回るのは不合理としていました。
最高裁は判決で同条に違反するかどうかは、「基本給と賞与の性質や支給する目的をふまえて、その違いが不合理かどうか検討すべき」と指摘。その上で、「(下級審が)支給する目的や性質を何ら検討してない。不合理と認められるものか否か、さらに審理を尽くすべき」としました。
判決後に会見した原告代理人の中谷雄二弁護士は「前進の可能性がある判決だ。具体的に趣旨や目的を会社に明らかにさせていけば、100%に近い賃金を支払わせる可能性がある。これ以上、悪くなるとは思わない」とのべました。青山さんは「会社の間違っていることを是正させたい。最後までがんばり続ける」と語りました。