2023年7月21日(金)
「天井近くまで浸水」
秋田水害 撤去作業に支援を
![]() (写真)水害で家財道具が散乱した加賀谷さんの自宅。天井近くまで浸水したといいます=20日、秋田市 ![]() (写真)地域一帯が浸水した楢山大元町。住宅前には泥のついた家財道具が搬出されていました=20日、秋田市 |
記録的な大雨に襲われた秋田市。なかでも楢山大元町(ならやまおおもとまち)は、2メートルを超す浸水があり多くの家屋が泥水にまみれました。快晴となった20日には、午前中から地域の人たちが、家財道具や故障した自動車を撤去していました。(井上拓大)
加賀谷泉さん(63)は同日午前中から、近所の知り合いやボランティアたちと自宅の家財道具を片付けていました。自宅の1階は、タンス、衣類や畳など多くの家財道具が散乱しています。壁の掛け軸を指さし、「天井近くまで浸水していた」と説明します。
楢山大元町はJR秋田駅から直線距離でおおむね1キロの位置にある住宅街です。秋田県のサイトによると豪雨に見舞われた15日に同町の205世帯413人に避難指示が出ました。加賀谷さんは、同日正午ごろ近所の人から避難するようアドバイスをうけ、母親(92)を連れて叔母の家に逃れました。
被害にあった自宅で生まれ育ちました。「家をリフォームしたので、母が亡くなるまではここで過ごせると思っていた。その母が『もう駄目だね』と言った。もう取り壊すしかない」と嘆きます。
撤去作業に行政の支援はなく、友人や知人のつてを頼んで応援にきてもらいました。「共助はあるが公助がない。廃棄物用のゴミ袋すら足りてない。住むところを確保する補償も必要です」
まずは食と住居を
続く避難生活 被災者不安
![]() |
記録的な大雨で地域一帯が浸水した秋田市楢山大元町。東側が秋田新幹線、西側に羽越本線、そして南側は氾濫した太平川に囲まれた三角形の地域です。
線路は東西をふさぐ形で高くなっており、住宅がある地域全体がくぼんでいるように見えます。
氾濫したとされる太平川は秋田運河に合流し、日本海に流れ出ます。秋田市のハザードマップによると、楢山大元町は中心部が1階軒下まで浸水することが想定されています。ただ63年間、同町に住んでいる加賀谷さんは、自宅が浸水したのは初めてだといいます。
20日に町内でテーブルなど家財道具の撤去作業をしていた女性(50)も「2メートルの高さまでは浸水していた」と振り返ります。部屋の中は、まだ湿っている泥に覆われていました。
秋田市社会福祉協議会は災害ボランティアセンターを開設しました。女性は19日に電話でボランティアを申請。20日午前中に数人のボランティアが来ました。同協議会は22日からは活動拠点を3カ所に増やして運営するとしています。
水害発生直後に女性は、近くの中学校に避難しました。同校で2日間過ごし、その後、市役所内にある中央市民サービスセンターの避難所に移動しました。避難所の食事は、カップラーメンなどインスタント食品ばかりだといいます。「まずは食べ物の支援をお願いしたい」と語ります。
女性は母親(90)と一緒に避難生活をしています。秋田市は20日、被災者に市営住宅などを一時提供すると発表。ただ原則半年間で数も限られます。女性は「安心して暮らせる住居の保障が最も必要です」と訴えます。











