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2023年7月19日(水)

きょうの潮流

 ryuchell(りゅうちぇる)さんの突然の訃報から1週間がたちました。喪失感が日ごとに募ります▼インタビューしたのは一昨年末。著書の『こんな世の中で生きていくしかないなら』というタイトルと、キラキラしたイメージとのギャップに、ぜひ会いたい、と思いました。トランスジェンダーであることを告白する前でしたが、本当の自分を隠して生きる苦しさを率直に語ってくれました。沖縄出身で平和への思いも特別でした▼自身にとって「この世はつらいことばかり」でした。「争いは多いし、理不尽なことも多い。だとしたら、自分がどうありたいかを軸にした方がラク」。しかし、誹謗(ひぼう)中傷はやむことがありませんでした▼「自分の生き方を見せることでマイノリティーの人を励ましたい」とも。それがメディアに出る唯一の理由でした。今年1月には、YouTubeで同じ悩みを持つ人に「あなたが見ている世界がすべてじゃない。信じてほしい」と。涙をぬぐい、自分を鼓舞しているかのようでした▼認定NPO法人「ReBit」の調査(2022年)では、10代LGBTQの48%が過去1年に自殺を考えたことがある、と回答。14%が自殺未遂を経験しています。驚きの数字です▼トランスジェンダー訴訟で前進が見える一方、アメリカの州では性的少数者の権利を制限する反LGBTQ法の動きも。世界は大きく揺れています。みんなにとって柔らかくて安心できる社会を望んだryuchellさん。後退があってはなりません。


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