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2023年7月17日(月)

東電、避難者に謝罪

南相馬訴訟原告「事故解決まだ」

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(写真)原発被害南相馬訴訟の牛来広原告団長代行(左)に、社長名の謝罪文を手渡す東電の高原一嘉・福島復興本社代表=16日、福島県南相馬市

 東京電力福島第1原発事故で避難を余儀なくされ故郷の変容を強いられたとして東電に損害賠償を求めていた南相馬訴訟の原告団に対し、東電は16日、福島県南相馬市内で謝罪しました。同種の訴訟で東電が謝罪の場を設けたのは、昨年6月の福島原発避難者訴訟の原告に次いで2件目。

 同訴訟の原告は東電福島県南相馬市原町区の住民140人。昨年11月に仙台高裁が、故郷の変容による慰謝料などを認め、東電に一審を上回る計約2億7900万円の支払いを命じる判決を出しました。上告を申し立てた東電は今年3月、上告を取り下げ、判決は確定しました。

 出席した東電の常務執行役で福島復興本社の高原一嘉代表は「取り返しのつかない被害および混乱を及ぼしてしまったことについて、心から謝罪いたします」とする小早川智明社長の謝罪文を代読しました。謝罪文では「事故の反省と教訓を胸に、あのような大きな事故を二度と起こさないことを固く誓います」としています。

 謝罪文を受け取った原告団長代行の牛来(ごらい)広さん(65)は「(謝罪を)素直に受け止めたい」と述べるとともに、原発事故の解決や事故処理が今回の謝罪や賠償で終了するわけでなく「避難区域外の避難者や、滞在者に対する賠償の基準は不十分で、避難区域の種類による賠償格差はまだまだ是正されていない」と指摘。被害を回復するための要求に誠意ある対応を求めました。

 高原氏は小早川社長に伝えると述べました。

 この後の原告・弁護団の会見で、弁護団は「(東電に対し)高裁判決において指摘された東電の義務違反、責任を真摯(しんし)に受け止め、地域住民の信頼の回復に努め、福島への責任の貫徹を遂行するように求める」とする見解を発表。大木一俊弁護団長は「言葉だけに終わらせず、実行させていくためにも、監視していかなければならない」と述べました。


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