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2023年7月17日(月)

矛盾深めるマイナごり押し

「今の保険証残せばいい」

 マイナンバーカードへの一本化による、従来の健康保険証の廃止に固執する岸田政権が、いよいよ矛盾を深めています。来年秋を予定する廃止時期について、最も遅くて来年12月8日に廃止すると閣僚が言及する一方、国民の批判に押され、次々と弥縫(びほう)策を打ち出しています。「いままでの保険証を残せばいいだけだ」との批判が相次いでいます。(松田大地)


写真

(写真)マイナカードの保険証利用登録画面

 加藤勝信厚生労働相は14日の記者会見で、廃止時期について「最も遅い場合は(来年)12月8日になる。具体的時期はこれから決める」と言及しました。先の国会で自公や維新など各党が成立させた改定マイナンバー法で、公布日の6月9日から1年6カ月以内に従来の保険証を廃止すると定めているためです。

 情報漏えいの不安などを背景に、カード未取得者やカードの保険証利用の未登録者は国民の半数近い約6千万人もいます。厚労省は従来保険証の廃止後、保険証代わりの「資格確認書」を発行するといいますが、本人の申請が前提のうえ最長1年の更新制のため、申請が難しかったり忘れたりすれば“無保険”状態になるとの懸念が広がっています。

職権交付言うが

 国民の批判に押された政府は、資格確認書の申請が難しいと判断した場合、自治体などが申請なしに「職権交付」すると強調。「本人の申請なく積極的に発行するかどうかの検討に入った」(共同通信、13日配信)と報じられており、未取得者・未登録者全員に申請を求めず発行するのかが注目されています。

 ただ、資格確認書を数千万人に交付する作業・費用は膨大になるとみられます。本人の手元にいつ届くのかも定かではありません。SNSでは「現在の保険証を残せば、資格確認書は必要ない」「廃止にこだわる理由が理解できない」との批判が相次いでいます。

3パターン混在

 従来の保険証をめぐっては、政府は廃止後も使用できる猶予期間を一律で2025年秋までの1年間とする“修正”も迫られています。

 一方、医療機関の窓口は▽マイナカード▽資格確認書▽従来の保険証―の3パターンでの受診が混在することになり、混乱が予想されます。

 マイナカードでの受診時に加入保険が確認できず、医療費がいったん10割負担になるケースが続発している問題については、患者に対し、従来の保険証を見せるか、自身のスマートフォンで専用サイト「マイナポータル」の資格情報画面を見せるよう求めるという対応策を示しました。

 トラブルが続出しているから従来保険証を持ってこいというのは、期限ありきで廃止を迫る道理のなさを鮮明にしています。

 高齢者をはじめとして、スマホの操作が不慣れな人も少なくないことは容易に想像できます。操作ができず、従来の保険証も持参していない人には窓口で「資格申立書」の記載を求めます。保険証の有無や種別、保険者の名称、事業所名、交付時期、患者負担の割合、カードの券面事項を記載・自己申告させるもので、窓口がいっそう混雑するのは目に見えています。

 道理なき保険証の廃止ではなく、その存続と、カードへの一本化中止こそが必要です。


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