2023年7月16日(日)
リニア工事で労災隠し
長野労働局 下請けなど書類送検
リニア中央新幹線のトンネル工事で4月に起きた長野県飯田市の労働災害を隠したとして、長野労働局は14日、労働安全衛生法違反容疑で下請け業者らを書類送検したと発表しました。リニア工事では初めて。今後、JR東海などに再発防止などを要請します。
同労働局によると4月20日、飯田市の「中央アルプストンネル松川工区」で掘削作業中の成豊建設(東京)作業員に落下してきたコンクリート片があたり、頸椎(けいつい)を捻挫(全治4週間)しました。工事を請け負う共同企業体(JV)から飯田労働基準監督署に連絡があったのは約3週間後の5月12日。同社の長野作業所長から報告書が提出されたのは5月15日でした。JR東海から飯田市に連絡があったのは1カ月以上たった5月22日でした。
同労働局は記者会見で、「重大かつ悪質」な労災隠しだと指摘し、「故意に隠す意図があったかの観点で捜査に着手する」と述べました。JR東海、工事委託する鉄道建設・運輸施設支援機構、工区の工事を請け負うJVに対して再発防止を要請するとしました。
JR東海は、リニア工事で労災事故が発生した場合、原則発表しない方針で、県や関係市町村には報告していると説明。長野県によると県内で未公表も含め2021年から10件、物損事故が6件ありました。
県議会でリニアの労災事故や安全性、トンネル残土問題を追及している日本共産党の毛利栄子県議団長は、「下請け会社の報告漏れだけではすまされない。何より問題なのはJRの開業先にありきで安全軽視していることです」と話しています。








