しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2023年7月7日(金)

主張

マイナカード破綻

場当たり対応では解決しない

 マイナンバーカードの混乱を巡って5日、衆院地域・こども・デジタル特別委員会で閉会中審査が行われました。改定マイナンバー法が可決・成立した翌月に委員会を開いて欠陥について審議すること自体、制度の破綻を示しています。岸田文雄政権が場当たり的対応を繰り返すほど、健康保険証をマイナカードに一体化して廃止する理由のないことが、ますます明らかになっています。

保険証廃止の理由崩れた

 閣僚は無責任な答弁に終始しました。「一体化のメリットをよく理解していただく」(加藤勝信厚生労働相)、「自主返納で誤ったひも付けは解決しない。マイナポータルで自身の情報を確認してほしい」(河野太郎デジタル相)と反省はまったく見られません。来年秋の保険証廃止はいっさい変えようとしません。

 マイナカードを持たない人に交付する健康保険の資格確認書は、申請なしの交付も検討するとしています。そのようなことをするくらいなら、現行通り健康保険証を交付すべきです。経費と人手をかけて資格確認書を発行する必要はありません。

 暗証番号の管理が難しい人には暗証番号の設定が不要なマイナカードを交付するといいます。その場合、政府のウェブサイト「マイナポータル」は使えません。マイナポータルで行政サービスを受けられることを政府は売り物にしています。使えないのならカードを持つ意味がなくなります。

 医療機関の窓口でマイナカードを使って保険資格をオンライン確認できなかった際に10割負担を避けるため、厚労省は、患者に被保険資格申立書を記入させ、いったん3割負担で医療費を支払ってもらうとしています。

 しかし健康保険の本人負担は、加入する保険、年齢、収入などによって1~3割に分かれています。3割でない人が多く支払った場合の払い戻し手続きはどうなるのか、不透明です。医療機関や保険組合の事務負担も膨大なものになります。

 自治体によって異なる助成がある子ども医療費に及ぼす影響も指摘されています。保険資格が確認できなければ、本来無料なのに負担が生じることになります。

 いずれも保険証があれば、オンライン確認の必要はなく、起きない問題です。マイナカードで保険資格を確認できないトラブルがあまりに多いので、政府も「初診や転職した際は医療機関に保険証も持参してください」と言わざるをえなくなっています。

 保険診療に大混乱をもたらしているのに岸田政権は、マイナカードは「よりよい医療を提供するため」と言い張っています。根拠が崩れています。カードの名称を変えても事態は何も変わりません。

世論を広げて医療守ろう

 任意であるはずのマイナカードを全国民に持たせるため保険証を廃止することが混乱の根本的原因です。JNNが2日に発表した世論調査では7割を超える人が来年秋の保険証廃止の撤回・延期を求めました。

 保険証廃止を中止し、マイナカードの取得強制をやめるよう求める署名が呼びかけられています。世論を広げ、誰もが安心して医療を受けられる国民皆保険を守りましょう。


pageup