2023年7月5日(水)
主張
大雨被害への警戒
命を守るための対策の強化を
活発な前線の影響で、熊本県をはじめ九州各県に激しい雨が断続的に降りました。河川の氾濫、土砂崩れなど被害を広げています。さらなる雨が予想されます。6月末からの大雨で地盤が緩んでいるところも多く、気象庁は土砂災害への警戒を呼びかけています。
4日は、災害関連死を含め67人が死亡し2人が行方不明となった2020年の熊本豪雨の発生からちょうど3年でした。日本各地では7月初め、記録的な大雨で毎年のように大きな災害が起きています。教訓に学び、大雨被害から命を守る取り組みを強めることが政治の重要な役割です。
危険な「盛り土」の規制
17年7月5日に起きた九州北部豪雨では福岡、大分の両県で40人の命が奪われ、2人が行方不明となりました。18年7月6日から被害が相次いだ西日本豪雨では、東海地方から九州地方までの14府県の広範囲で300人以上が犠牲となりました。
過去に経験したことのない激しい雨の中でどのように命を守るのか。ハザードマップの周知徹底をはじめとする情報発信や避難の呼びかけの在り方、1人暮らしの高齢者や障害者などの安全確保の方法などをめぐり行政の対応が議論になり、検証と対策の強化が迫られた地域は少なくありません。
河川管理や治水、土砂崩れの危険箇所のチェックや保全の立ち遅れなどの課題も各地で指摘されました。豪雨の頻度が高まる中、地域の災害リスクを一つひとつ具体的に明らかにし、危険を取り除く不断の努力が欠かせません。
静岡県熱海市で21年7月3日に発生した土石流は、上流部にあった違法な「盛り土」の崩落が被害を拡大させた「人災」でした。この土石流被害では災害関連死を含め28人が犠牲となり、約130棟の建物が被害を受け、いまも200人以上が避難生活をしています。深刻な被害を引き起こした原因と責任の所在を明確にし、再発防止につなげなくてはなりません。
危険な盛り土は全国各地に多く存在していましたが、対応は自治体任せで、熱海市の土石流発生前から実効性のある規制法の制定を求める声が上がっていました。政府の不作為が重大な犠牲を生んだことに批判が集まる中で、盛り土規制法が昨年の通常国会で成立し、今年5月に施行されました。
盛り土を全国一律の基準で規制する法律ができたことは重要な一歩です。ただ、規制する区域を限定したため、区域外に盛り土が集中する懸念は消えません。盛り土の多くはトンネル工事などで発生する建設残土ですが、この残土を適正に処理するための法整備は行われませんでした。国民の命と財産を守るために、盛り土規制法の見直しは不可欠です。
従来の経験にとらわれず
全国どこでも激しい雨の危険と隣り合わせです。従来の経験にとらわれないことが重要です。地方自治体は、住民がためらうことなく身を寄せることができるよう、避難所の整備に努めることが求められます。「災害級」ともいわれる猛暑への備えも必要です。
極端な大雨の頻度を高めている背景となっている気候危機に歯止めをかけることが急務となっています。日本政府は温室効果ガスの排出量削減に真剣に取り組み、責任を果たすべきです。








