2023年7月5日(水)
国保料滞納世帯の財産
差し押さえ28.7万件 21年度
政権が徴収強化方針 貧困に拍車
国民健康保険の保険料(税)を滞納していた加入世帯への財産差し押さえ処分が増え、2021年度は28万7840件にのぼったことが厚生労働省の調べで分かりました。コロナ禍のもとで減少した20年度から一転して4万件余り増加しました。高すぎる国保料の引き下げではなく、自治体に取り立て強化を求めてきた自公政権の方針を受けたものです。
国保加入者は国民の5人に1人にあたる2537万人(22年3月末現在)で、非正規雇用の労働者や年金生活の高齢者の世帯が大半を占めます。貧困化が進む一方、国保料は国庫負担の削減などで高騰。東京の特別区長会が決めた23年度保険料率では、給与年収400万円の4人家族(30代の夫妻と小学生の子2人)の場合、年46万円余りの負担です。
滞納世帯数は減少傾向ですが約195万世帯(22年6月現在)で、加入世帯の11・4%。市区町村による財産差し押さえは一貫して増加傾向でしたが、20年度は前年度比で9万件減り、21年度は一転して同4万件増でした。
厚労省担当者は「恐らく、コロナの感染拡大で人との接触を避けるため(差し押さえを)控えていたのが、21年度になって(差し押さえの)動きが戻ったのだと思う」と説明。なけなしの預貯金や家財道具を強権的に差し押さえ、さらなる貧困に突き落とすやり方はやめることこそが求められています。
滞納者からの正規保険証取り上げは国民的批判の高まりで減少傾向ですが、有効期間が短い「短期保険証」を交付されたのは約43万世帯。医療機関の窓口でいったん医療費10割負担を強いられる「資格証明書」を交付されたのは約9万世帯にのぼります。受診を控えざるをえず症状が悪化するケースが相次いでいます。








