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2023年7月2日(日)

主張

バイデン氏発言

対日軍拡要求の狙いあらわだ

 岸田文雄政権が進める大軍拡をめぐり米国のバイデン大統領が来年の大統領選に向けたキャンペーンの中で行っている演説が注目されています。一連の発言を通し日本の大軍拡に込めた米国の狙いがあらわになっているからです。

台湾有事が念頭に

 バイデン氏は6月20日、カリフォルニア州での支持者集会で、岸田政権が決めた軍事費の大幅増額は「私が彼(岸田首相)を説得した」ことによるものだとアピールしました。同氏は「日本は長期間、軍事費を増やしてこなかった。私は日本の指導者に広島(G7広島サミット)を含めて3回会い、彼を説得した。彼も何か違うことをしなければならないと確信した。日本は指数関数的に軍事費を増やした」と語りました。

 岸田政権が昨年末に決めた安保3文書で軍事費を従来の国内総生産(GDP)比1%から2%へと2倍化することにしたのは、米側の圧力によるものだったことを明らかにした発言でした。

 これに対し日本政府は「わが国の防衛費の増額はわが国自身の判断によるもの」で「(バイデン氏の)発言は誤解を招き得る」と米側に申し入れたとしています(松野博一官房長官、23日の記者会見)。

 バイデン氏は27日、メリーランド州での支持者集会で、日本の軍事費増について「彼(岸田氏)は私の説得を必要としなかった。彼は既に決めていた」と述べ、20日の発言を訂正しました。

 しかし日本の軍事費のGDP比2%への引き上げは、バイデン氏の説得によるかどうかは別にして、米国が一貫して要求してきたものです。2020年には既に中国やロシアに対抗するため日本を含む同盟国に「国防費を少なくともGDPの2%に増やすよう求める」と表明しています(同年9月16日、エスパー米国防長官=当時)。

 バイデン氏は27日の演説で「日本は初めて軍事費を著しく増やし、ヨーロッパでの戦争(ロシアのウクライナ侵攻)にも関与した」とし、「なぜなら彼(岸田首相)はそうしなければ(中国の)台湾(侵攻)に青信号(ゴーサイン)を送ることになると分かったからだ」とも述べました。

 バイデン氏は28日にもイリノイ州での支持者集会で、岸田氏が会談の中で「(ロシアの)18万5千人の軍隊が他国(ウクライナ)を侵略している。次はなぜ台湾ではないのか」と語っていたことを明らかにしました。松野官房長官はこの発言については「コメントは差し控えたい」として否定しませんでした。

 岸田氏は「ウクライナは明日の東アジア」だと繰り返し大軍拡を正当化してきましたが、日本有事ではなく、台湾有事を念頭に置いていることになります。

米戦略支援が本質

 バイデン氏は28日の集会で「日本は戦後、軍事費を増やしてこなかった。しかし、われわれと協力している(インド太平洋)地域でわれわれを助けるために大幅に増額した」とも語りました。日本の軍事費増は米軍を支援するためという認識を示したものです。

 岸田政権が進める敵基地攻撃能力の保有と大軍拡は、日本を米国の対中国軍事戦略の最前線基地にすることに本質があります。「米国言いなりの大軍拡をやめよ」の声を今こそ大きくしていく時です。


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