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2023年7月1日(土)

きょうの潮流

 降り積もる見えない暴力。なにかを削り取られていく感覚。誰もが見て見ぬふりをする闇の中でもがく姿が、静かに、ひりひりと伝わってきます▼あこがれの映画業界で働く新人女性の1日を描いた米映画「アシスタント」。雑務や厄介な仕事を押しつけられ、大物プロデューサーの会長からは理不尽な暴言を浴びせられる日常。ある違和感から会長のおぞましい行為に気づき、立ち上がろうとしますが…▼ひとりの権力者ではなく、それをうみだす組織の支配構造。すぐ隣にある差別や暴力を許容し、見逃す人たち。あなたはそれにどう向き合いますか? さまざまな職場の現実から見えてくる光景を通して映画は問いかけてきます▼2017年に米映画界の告発から始まった「#MeToo運動」。それに触発されてこの映画を撮ったというキティ・グリーン監督は、私たちは声を上げること、声を上げた人を支えることを学んできて、いま大きな変化を感じているといいます▼日本でもハラスメント調査が進み、ジャニーズの性被害をはじめ告発も相次いでいます。本紙6月20日付で報じたように表現の現場でのレイプ被害やセクハラ、パワハラの実態はすさまじい。今春から本格的に始動した「日本映画制作適正化機構」のように、安心して働ける職場環境をつくる動きも表れています▼グリーン監督は訴えます。運動の中で言葉がうまれ、議論がうまれ、問題を共有することで、社会は変わっていく。あなたは、決して傍観者にならないで。


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