2023年6月30日(金)
「オンライン資格確認」義務不存在訴訟
トラブル多発 現場混乱
国は「医師負担大きくない」
第2回口頭弁論 東京地裁
今年4月から、省令で医療機関に導入が義務付けられた「オンライン資格確認」は、法律上の義務がないことの確認を国などに対して求める訴訟の第2回口頭弁論が29日、東京地裁(岡田幸人裁判長)でありました。国側が「医師の負担は大きくない」と主張するのに対し、原告らは同システムがもたらす混乱を告発しました。
![]() (写真)口頭弁論後、会見する原告側の医師と弁護士ら=29日、東京・弁護士会館 |
原告側は、健康保険法では資格確認の方法について明示されていないにもかかわらず、省令で同システムの導入が義務付けられたのは法律の範囲を逸脱し、国会が唯一の立法機関であるとする憲法41条に違反するなどと主張しています。
これに対し国側は、資格確認も医療行為の一つであり、健康保険法の範囲を逸脱しないなどと主張しています。
また原告側は同システムについて、医療機関の負担は大きく、憲法上保障された医療活動の自由に対する権利侵害にあたるとも主張。国側は、同システムの導入には補助を行っており、医師の負担は大きいとはいえないとしています。
口頭弁論後に会見した、原告代理人の二関辰郎弁護士は「国民の権利を制限したり、義務をおわせたりするためには、国会で法律によって決める必要がある。今回は、厚生労働省が自分たちの規則で決めており、民主主義のルールからすると、反則技をやってきた」と語りました。
会見では、東京保険医協会が行った同システムのトラブル事例アンケートの結果が公表され、66・5%の医療機関でトラブルがあったことが明らかになりました。
保険者情報が正しく反映されなかったトラブルが多く、最終的に健康保険証で資格確認をしたとの回答が最多でした。また、トラブルにすぐに対応できなかったケースの13%では、いったん10割を患者に請求したとしています。
原告の一人で、東京保険医協会の須田昭夫会長は、「一時的にせよ、全額負担を求めなくてはならず、最終的には命にもかかわる。受診をためらわせることがあってはならない」と強く訴えました。
オンライン資格確認システム マイナンバーカードで受診する際、保険資格情報を確認するための機器です。厚生労働省は、今年4月から医療機関に対し、同システムの導入を療養担当規則で義務化しました。厚労省は、同システムを導入しないと、保険医療機関の指定を取り消す事由になりうるとしています。









