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2023年6月26日(月)

きょうの潮流

 ドアをあけると「いらっしゃいませ、お好きな席にどうぞ」と元気な声の女性店員に迎えられました。大阪市の繁華街で偶然見つけた喫茶店▼よく利用する駅の近くでしたが、初めて歩いた路地にその店はありました。レンガづくりの古風なたたずまい。テーブルと椅子は年季もの。流れる曲も掛けられた絵画もセンスがいい。焙煎(ばいせん)も本格的▼コーヒー好きにはたまりません。会話がまた面白い。おじいちゃんと孫娘のように年が離れたマスターと店員の話が止まらない。メニューのこと、値段設定、お客さんの反応▼「ねえマスター、これとこれをセットにしたらどうですか」「フレッシュジュース出したことあるんですか」と店員。「あるよ。でも組み合わせが、いまいちなんだよなあ」とマスター。「じゃあ、これは」と次の提案。どちらが店主かわからない。テンポのよさは漫才を聞いているよう▼気になるのはコーヒーの値段。豆代も電気代も上昇しなじみの店は、かつて400円だったのに、いまや530円。250円に据え置いている店やモーニングセットを400円で提供する店に入ると「大丈夫かな、店やっていけるのかなあ」と心配になる。「安いといわれると値上げできなくて」とある店主▼賃金は上がらないのに物価は上がり負担は増える。33年ぶりの株高や過去最高の売上高なんて、どこの世界の話なのか。先の「喫茶店漫才」も、よく考えたら、高物価をどう乗り切るかの真剣な「知恵だし会議」だったのかもしれない。


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