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2023年6月23日(金)

きょうの潮流

 奇妙な軍隊が、人目を避けるように名護の町に入りました。重油まみれでやけどや傷を負った兵士。太平洋戦争末期の1944年、日本軍をのせた船が沖縄にむかう途中、米潜水艦の攻撃で撃沈。その生き残りでした▼この年の3月、大本営は南西諸島の防衛強化や航空基地の整備を任務に陸軍第32軍を創設。日本軍の部隊が相次いで沖縄入りしました。その数は10万ともいわれ、島を「不沈空母」とするため住民は飛行場や陣地づくりに駆り出されました▼翌年4月に米軍上陸。第32軍の目的は本土を守るため、沖縄に米軍を足止めさせて戦争を長引かせることでした。県民には「軍官民共生共死の一体化」を指示。激しい地上戦にまきこみ、犠牲者を増やしていきました▼盾とされ、捨て石とされた沖縄・南西諸島。それは今も。安倍政権による安保法制の強行後、自衛隊の大増強が始まり、ミサイル部隊が各地に配備されています▼「雪崩を打って自衛隊が宮古や八重山に押しかけている。今の状況は戦争前夜そのもの」。沖縄戦を体験した「元全学徒の会」共同代表の瀬名波栄喜さんが地元紙に語っていました。岸田政権がすすめる米国追従の敵基地攻撃能力の保有。ふたたび戦場にされる危険は高まっています▼きょうは沖縄戦の犠牲者を追悼する「慰霊の日」。第32軍が司令部を置いた首里城の地下壕(ごう)を平和発信の場として保存・公開を求める会は訴えました。「軍隊は住民を守らなかった」という史実を改めて思い起こす日でもあると。


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