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2023年6月22日(木)

主張

通常国会の閉幕

声聞かない政権終わらせよう

 1月に召集された通常国会が閉幕しました。150日間の論戦で鮮明になったのは、国民に説明せず重要政策の大転換を強行する岸田文雄首相の危険な姿です。日本を「戦争国家」につくりかえる敵基地攻撃能力保有と空前の大軍拡予算や関連法を「憲法の範囲内」と言い張り押し通したのが、その象徴です。人権侵害との批判が集中した改悪入管法を成立させるなど、民意に反する姿勢もあらわでした。「正々堂々議論」「信頼と共感」(首相の施政方針演説)とかけ離れた政治です。岸田政権を終わらせる運動を広げる時です。

説明せずに政策を大転換

 今国会の最大焦点は、岸田政権が昨年末に国民に全く諮らずに閣議決定した安保3文書でした。ここで打ち出された敵基地攻撃能力の保有は、これまで政府が憲法の趣旨とするところではないとしてきましたが、首相は「憲法解釈は変えていない」などとごまかし続けました。

 敵基地攻撃能力の保有はアメリカの対中国軍事戦略と結びついており、日本が武力攻撃されていなくてもアメリカが戦争を開始したら、自衛隊が米軍とともに攻撃を加える危険な仕組みになっています。「専守防衛」でも「日本を守るため」でもないことを日本共産党は論戦で明らかにしました。

 長距離ミサイルを大量購入するため過去最大の軍事予算を盛り込んだ2023年度予算や5年間で43兆円の大軍拡を支える軍拡財源法を成立させ、戦争準備を加速させた岸田政権の責任は重大です。

 大軍拡は暮らしを圧迫する道でもあります。首相が「異次元」と強調する子ども子育て政策の財源確保が混迷しているのも、大軍拡優先に固執しているからです。「軍事栄えて民滅ぶ政治」の大本からの切り替えが急務です。

 原発の最大限活用を掲げた原発推進等5法の強行も、国民への説明や議論を欠いた政策の大転換です。将来にわたり原発に依存し続けることは、12年前に甚大な被害を招いた東京電力福島第1原発事故への痛苦の教訓を投げ捨てるものです。

 国際社会からも非人道性が指摘され是正が厳しく求められてきた難民・入管行政のゆがみを温存・拡大する入管法改悪は、岸田政権が人権侵害に反省のないことを浮き彫りにしました。

 首相秘書官が同性婚について差別発言をしたことも多様性や個人の尊厳に対する首相の認識が問われました。自民、公明、日本維新の会、国民民主党が成立させた「4党LGBT法」は、性的少数者に対する差別と偏見を助長しかねません。同法をこのままにすることはできません。

怒りと不信は高まる一方

 岸田政権下で続発しているマイナンバーのずさんな運用に対し国民の怒りと不信が急速に広がっています。メディアの世論調査でマイナンバー制度への不安は7割にのぼり、今国会の法改悪で導入しようとしている保険証との一体化に反対の声も多数となっています。岸田政権はこの声を真剣に受け止めなければなりません。

 首相秘書官だった長男らの「公邸忘年会」を巡る政治私物化への批判も重なり、岸田内閣支持率は下落しています。国民の声に背を向ける政権を追い詰めるたたかいが不可欠です。


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