2023年6月20日(火)
きょうの潮流
顔全体で笑いかけるスーダンの子ども。はにかむようにほほ笑むアフガニスタンの少女たち。切り取った無邪気な表情やしぐさに心が和みました▼田沼武能(たけよし)さんの回顧展「人間讃歌」が東京都写真美術館で開かれています。93歳で亡くなるまで120をこえる国や地域をまわり、世界の子どもたちを写し続けました。レンズは冷徹な現実も見つめます。ゴミの山から何かを探す少年、栄養失調で骨が浮きでた幼子、内戦の国から逃れてきた家族…▼きょうは世界難民の日です。国連によると、紛争や迫害などで家や故郷を追われた人は先月までに1億1千万人に達し、過去最多を更新。ウクライナやシリア、アフガニスタンやスーダンから多くが逃れているといいます▼一方で難民や避難民を受け入れる負担が近隣の途上国などに偏っていることから、国連はより公平な負担が必要だとして国際社会に協力を呼びかけています。もはや受け入れは地域にとどまらず、世界の問題になっています▼日本はどうか。入管法の改悪は、いかにこの国の政権や一部の政党が難民受け入れに冷たく、ここでくらす外国人の人権を無視しているかをくっきりと。このままでは、日本に何かあったときに手を差し伸べてくれる所はあるのか不安です▼戦火の絶えない場所や難民キャンプをめぐって悲惨な状況にカメラを向けながら、田沼さんは、人間の生きる力を信じてきました。きずなを深め、平和をつくりだしていく力もまた、人間にはある。そう希望を込めて。








