2023年6月16日(金)
LGBT法4党案
田村智子議員の反対討論要旨
参院内閣委員会
日本共産党の田村智子議員が15日の参院内閣委員会で行ったLGBT法4党案に対する反対討論の要旨は次の通りです。
最大の問題は、第12条が、維新・国民案をベースに持ち込まれたことです。「全ての国民が安心して生活できるよう留意する」―法律の目的を百八十度転換し、マイノリティーにマジョリティーの安心を脅かすことのないようにと求める、これがマイノリティー人権擁護の法律なのでしょうか。審議でLGBTの方が直面する問題ではなく、トイレなど女性スペース問題ばかりが取り上げられたことに、12条の意味するところは明らかです。
上野千鶴子氏など22人が呼びかけ人となり「LGBTQ+への差別憎悪に抗議するフェミニストからの緊急声明」が発表されました。「女性の安全がトランスジェンダーの権利擁護によって脅かされるかのような言説は、トランスジェンダーの生命や健康にとって極めて危険なものになりかねません」との批判は、法案審議にも向けられたものと受け止めるべきです。
トイレや公衆浴場は、だれにも安全であるべきです。女性の安全が脅かされている現状は、性暴力の防止、被害者支援の法整備と取り組みの不十分さが問題であって、LGBTの権利に関わる法案の焦点として語るなど全くのお門違いです。
トランスジェンダーも深刻な性被害を受けているのに被害を認められず、支援や相談の対象にもならない、自分の性的指向・性自認による差別排除への不安を24時間、365日抱え続けている―参考人から示された生きづらさ、孤独、差別は命に関わる問題です。LGBTQ+の人権擁護、差別解消の緊急性は明らかなのに、審議でそこに焦点が当たらないのは異常です。
学校での教育、啓発は家庭・地域住民の協力を得つつ行うとの条文も、多数派が許容する範囲で認めるということになりかねません。性的違和感を抱く子どもが学校を通じて理解あるおとなとつながる機会が奪われ、孤立を深めてはなりません。
「差別は許されない」が「不当な差別はあってはならない」と書き換えられ、国に義務づけた調査研究が学術研究に置き換えられ、「民間団体などの自発的な活動の促進」も削除するなど、法案はずたずたに後退させられました。
国会の全政党に何度も足を運び、対話を続けてきた当事者のみなさんに心からの敬意を表します。根底にある思いは、私が私として生きたい、ただそれだけだと思います。その切なる願いに応えた理解増進、差別解消の取り組みは、全ての人が個人として尊重される社会を実現するでしょう。個人の尊重、ジェンダー平等、多様性の尊重へ私たちは決して絶望することなくともに歩み、必ず時代を動かします。