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2023年6月16日(金)

きょうの潮流

 成長できる舞台―。自衛官募集のホームページをみると、こんな文言が飛び込んできます。いくつかの職種に分かれる中に自衛官候補生があります▼応募資格は18歳から32歳。3カ月間、基礎的な教育や訓練に専従し終了すると任期制自衛官になれます。将来どんな状況にあっても役立つさまざまな経験を積むことができ、安定した生活と処遇が保障されるとも▼岐阜市の射撃訓練中に発砲し、3人を死傷させた18歳の男はこの春に入隊した候補生でした。「教官に叱られた」「教官を狙った」などと供述しているそうですが、詳しい事情はまだわかっていません▼今回が最後の実弾訓練で今月中には訓練を終える予定だったといいます。入隊からこの間に何があったのか。教育係の隊員との関係はどうだったのか。陸上自衛隊に任せるのではなく、第三者による透明な調査で国民に明らかにする必要があるでしょう▼陸自は1984年にも山口駐屯地で乱射事件を起こしています。同僚4人を死傷させた自衛官は過去に入隊しながら無断欠勤で停職処分となり辞職。それを隠して再入隊していました。ずさんな採用とともに教育や訓練の改善が求められてきました▼いまだパワハラやセクハラが絶えない自衛隊。不祥事や事故も相次ぐ中で軍拡がすすめられようとしています。人に銃口が向けられた恐怖におののく周辺住民。「武器を扱う組織として、決してあってはならない」行為をどう防ぐのか。試されているのは、自衛隊だけではありません。


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