2023年6月15日(木)
トラブル多発でもマイナカード一色
母子手帳・就労・スマホ・国立大
政府「重点計画」
マイナンバーに別人の情報を誤登録したり、マイナンバーカードで別人の書類を誤発行したりと連日トラブルが絶えません。そんな中、岸田文雄内閣は9日、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を閣議決定しました。そこには、マイナカードを使わせること“ありき”の首をかしげたくなるようなプランが並びます。
「重点計画」は「一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会」と打ち出しています。
その中身はどうかー。
ハローワークでは「マイナンバーカード受付システムなど、就労分野でのマイナンバーカードの利用を促進する。2024年度から、原則マイナンバーカードに移行する」としています。これで何が“多様”になるのでしょうか。
「スマートフォンアプリ等を活用して、検診受診券・母子健康手帳(母子手帳)とマイナンバーカードとの一体化を目指す」ともしています。
母子手帳には、出産前後の状況や赤ちゃんの発育状況、検診結果や予防接種の情報が1冊に集約されています。赤ちゃんを受診させる際に持っていけば、医療機関へ正確に赤ちゃんの情報を伝えることができます。
「重点計画」にあるように、この母子手帳にある情報を誰かのマイナンバーカードやスマホに集約させると、他の家族が受診に連れて行く際、どうすればいいのでしょう。
「重点計画」は「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化」としています。しかし、その中身は“取り残されたくなければ、マイナカードをつくれ”というものです。
携帯電話を契約する際、窓口に行かないで手続きする時にはマイナンバーカードを使った本人確認に原則一本化するとしました。窓口に足を運んでの手続きでも、マイナンバーカードに内蔵された公的個人認証を使っての本人確認を進めていくとしています。
さらにマイナンバーカードを「大学での出席・入退館管理や各種証明書発行等」に使うよう推進するとしています。国立大学法人に対して「評価を開始し、運営費交付金の配分に反映する」と、締め付けるものとなっています。
国立大学法人宇都宮大学では、「図書館での館外貸出や夜間休日等の本学建物への入棟の際など」にマイナンバーカードを使用するとしています。
誰の「ニーズ」でもないものを、一連のトラブルに反省することなくごり押しする岸田内閣の姿勢が問われます。(矢野昌弘)








