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2023年6月14日(水)

きょうの潮流

 ぼくはできる。ぼくならできる。いつも自分にそう言い聞かせてきました。それは厳しい境遇から身につけた心構えでした▼車いすテニスの全仏オープンで、四大大会優勝と世界ランキング1位を史上最年少で達成した17歳の小田凱人(ときと)選手。9歳のときに骨のがんである骨肉腫と告げられ、左足の股関節と大腿骨の一部を切除。車いすでの生活が始まりました▼プロのサッカー選手にあこがれ、自分もそうなることを夢見ていた少年にとって、つらく残酷な現実。寝たきりで足が痛くて泣いていたという日々。そんなときにめぐり合ったのが、車いすテニスの国枝慎吾さんでした▼世界の強豪を相手に躍動する姿、みなぎる気迫。絶望のなかで見いだした光でした。そこからはリハビリに励むとともに車いすを操り、ラケットを振り続ける毎日。周りが驚くほどの速さで頂への階段を駆け上がっていきました▼これまで2度にわたりがんが転移。「うまくいかないのが、ぼくのなかで普通。そこでくじけたりっていうのは全くない」。テレビでさらっと口にしていた言葉には、何度も困難を乗り越えてきた自信がうかがえます。その挑戦心は車いすテニスの常識を打ち破る大胆なプレーにも表れています▼プロになるとき「病気とたたかっている子どもたちのヒーロー的な存在になれるような選手をめざす」と語っていた小田選手。障害者スポーツの普及をはじめ、いろんな活動をしてこそアスリートだと言い切る若きエースのこれからが楽しみです。


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