2023年6月14日(水)
化石燃料依存 未来奪う
米国初 若者の気候訴訟始まる
「モンタナ州憲法に違反」
【ワシントン=島田峰隆】米西部モンタナ州で12日、化石燃料に依存する州の政策は地球温暖化を加速させ、若者の未来を奪っているとして若者16人が州を相手取って訴えた裁判が2週間の日程で始まりました。
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米国で気候危機を巡って若者が起こした裁判の審理が始まるのは今回が初めてです。気候危機が深刻化するなか、自治体や大企業の責任を問うて若者が裁判に訴える動きは米国内外に広がっています。モンタナ州での裁判は「州境をはるかに超えた遠くにまで影響する可能性がある」(ワシントン・ポスト紙)とみられています。
原告は現在5~22歳の若者たちです。2020年に法律事務所が若者たちを代表してモンタナ州の州都ヘレナの裁判所に訴えました。
若者たちは気候危機の原因となる石炭や天然ガスの使用を容認したり推進したりすることは「清潔で健康な環境」を州民に保障した州の憲法に違反すると主張しています。若者の権利が侵害されているという認識を裁判所が示すことを求めています。
原告の弁護士のロジャー・サリバン氏は12日、気候危機が原因とされる干ばつ、山火事、猛烈な嵐、大気汚染、熱波がすでに若者の人生を変えていると指摘。「地球温暖化はモンタナ州の環境や経済に重大な影響を与えるだろう」と強調しました。
親が牧場を経営している原告の一人は、山火事で送電線が100キロ余りにわたって焼失し、約1カ月間停電したと証言。水をくみ上げる電動ポンプが使えず、干ばつで草も不足し、牛が死んでいったとし、「健康で安心できる生活が山火事、高気温、干ばつでますます影響を受けている」と語りました。
州側の弁護士は、気候危機は地球規模の問題であり、「モンタナ州の温室効果ガス排出はあまりに少なく、大勢に影響はない」と主張しました。
モンタナ州は石炭生産量で全米5位、石油生産量で同12位です。氷河の縮小や山火事が起きる季節の長期化など、同州でも気候危機の影響がみられると専門家は指摘しています。









