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2023年6月13日(火)

核保有9カ国、核兵器に年11兆円超

ICAN報告 3年連続増

この額あれば20億人にコロナワクチン、13億人に清潔な水1年分

 【ワシントン=島田峰隆】米国やロシアなど核保有9カ国が2022年に核兵器の開発や維持のために費やした金額は、合計で約829億ドル(約11兆5500億円)に上ることが分かりました(表)。国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)が12日に発表した年次報告書で明らかにしました。


表

 1分当たりに換算すると約15万8000ドル(約2200万円)です。核兵器システムの近代化や核弾頭の増強を進めるなか、9カ国合計の核兵器関連支出は3年連続で増加しました。

 これだけの金額があれば、20億人に新型コロナウイルスのワクチンを提供するか、あるいは約13億人に1年間、清潔な水と公衆衛生を提供することができます。

 核兵器へもっとも多く予算を費やしているのは米国で、残りの8カ国の合計よりも多くなっています。2位と3位の中国とロシアは、それぞれ前年比で6%程度増やしました。前年比でもっとも増加率が高かったのはインドで、約22%増でした。

 9カ国は核兵器開発企業と少なくとも2786億ドル(約38兆8200億円)相当の契約を結んでおり、2040年まで続く契約もあります。核兵器開発企業は、米英などの研究所へ出資したり政府へのロビー活動を行ったりすることで、核兵器の開発・維持の政策が継続するよう影響を与えています。

 報告書は、気候変動、新型コロナ、ロシアによるウクライナ侵略など安全保障上の脅威があるなかで、核兵器関連支出が増え続けても「安全保障上の環境に目に見える改善はなく、それどころか状況を悪化させている」と批判。核兵器禁止条約が「核保有国による無責任な無駄遣いへの国際的回答だ」と強調し、すべての国に参加を呼び掛けました。


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