2023年6月13日(火)
きょうの潮流
郵便投票―。外出がままならない人の選挙権を保障するためのものですが、対象範囲が限定的なため、希望しても認められない人が多いのが実態です▼2020年の岡山県知事選で郵便投票を認められず投票権を奪われたとして、肢体障害4級の女性が国に賠償を求めた裁判に、支援の輪が広がっています。郵便投票の対象拡充を認める判決を求めた署名には、短期間で千人近くが応じました▼困難を抱える人たちが声を上げ、投票しやすい仕組みに取り組む自治体も出ています。「障害をもつ人の参政権保障連絡会」によると、先の統一地方選では5県知事選、214市区町村長の選挙で、候補者名に○をつける記号式投票を実施。「自分で○を書いて投票できて、誇らしげでした」と40代のダウン症がある人の母親▼同会作成の「知的障害者・家族・支援者のための選挙のしおり」が好評です。宮崎県日向市の女性は、障害者の家族に「しおり」を手渡しました。自宅で何度も書く練習をし、その紙を持ってしっかりひらがなで投票用紙に記入し、初めて投票できた―。県議選後に母親から女性に喜びの報告があったそうです▼投票時に自分で候補者名を記入するのが難しい人に向けて、「しおり」は代理投票での注意事項をわかりやすく紹介しています。高齢者のために参考にするという人も▼障害者の参政権保障に関する取り組みは一歩ずつ。岡山の郵便投票裁判の控訴審判決は9月5日です。制度改正につながる判決を、と注目が集まります。








