2023年6月9日(金)
軍需産業支援法案
山添議員の反対討論(要旨)
参院外防委
日本共産党の山添拓議員が6日の参院外交防衛委員会で行った軍需産業支援法案への反対討論の要旨は次の通りです。
安保3文書改定に向けた政府有識者会議では、軍需産業を成長産業にすべきだとの主張が相次ぎました。政府は、英国・イタリアと共同開発する次世代戦闘機について「たくさん売れば売るほど単価が下がる」などと言い、海外輸出をもくろんでいます。安倍政権が憲法9条に反して武器輸出を解禁した上、与党協議で殺傷能力のある兵器まで輸出解禁を狙っています。戦争を企業のもうけに利用し、経済成長を図るのは参考人が指摘した「死の商人国家への堕落」との批判を免れず、許されません。
軍需品製造ラインの強化や事業承継など企業が策定する計画を防衛大臣が認定し、その費用は国の負担とされますが、支援対象は民需品と共用の製造ラインでもよく、黒字の大企業も対象とされ、複数の支援を受けることも可能です。それでも手段がないときは、国有化のスキーム(枠組み)も用意しており軍需産業にとって至れり尽くせりです。国有化後、民間に譲渡する期限の定めはなく、国有民営が続けば事実上、戦前・戦中の「工廠(こうしょう)」の復活に道を開きます。
参考人から「官が認定し官の裁量を増やす点で潜在的に不祥事のリスクがある」と指摘されました。武器輸出を支援する指定法人も基盤強化の計画認定も、軍需産業と防衛省の構造的な癒着が懸念されますが、審議で明らかになったように、法文中にこれを排除する規定はなく、汚職や腐敗の危険はいっそう高まります。
秘密保全措置は防衛省の契約企業に対し、従業員を刑事罰の対象として義務を課しますが、(政府は)情報漏えいに対する違約金の対象となった事業者の例を1件も挙げられず、そもそも立法事実を欠きます。従業者情報を防衛大臣に報告させる対象は「防衛大臣の定める事項」とされ限定がなく、プライバシー侵害の危険が軽視できません。
軍需産業を特別扱いで支え、産業と経済を軍事に従属させることは、社会全体にゆがみをもたらします。官民一体での武器輸出の促進は、「我が国にとって望ましい安全保障環境の創出」どころか東アジアの緊張関係を高めることにつながります。日米の軍事一体化を中心に、軍事的対抗を強めるのではなく、地域のすべての国を包摂する平和の枠組みを発展させることにこそ力を尽くすべきです。








