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2023年6月9日(金)

バス会社社長らに実刑

「利益優先 安全講じず」

長野地裁判決 軽井沢15人死亡事故

 長野県軽井沢町で2016年、大学生ら15人が死亡し、26人が重軽傷を負ったスキーツアーバスの転落事故で、業務上過失致死傷罪に問われた運行会社社長の高橋美作被告(61)、運行管理者だった元社員荒井強被告(54)の判決が8日、長野地裁でありました。大野洋裁判長は高橋被告に禁錮3年、荒井被告に禁錮4年の実刑判決を言い渡しました。


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(写真)軽井沢バス事故の判決を受け、記者会見する(左から)遺族の田原義則さん、大谷慶彦さんら=8日午後、長野市

 判決は、事故を起こした運転手(死亡)について「大型バスの運転経験が少ないと両被告が認識していたのに、運転技能を確認せず、スキーツアーに従事させ、事故を発生させた」と指摘。争点となっていた、両被告による事故の予見可能性と結果回避義務違反を認めました。

 また、運行会社「イーエスピー」が関東運輸局から受けた監査で、点呼や適性診断をしていないことなどを指摘されたことに言及。同社が運輸局に「改善した」とする虚偽の弁明書を出した点にも触れ、「道路運送法などの法令に基づいた安全義務を尽くそうとせず、目先の利益優先で、安全確保措置を全く講じないまま放置した」と述べました。

 大野裁判長が、判決の読み上げで「(犠牲者の)乗客13人はいずれも19歳から22歳の大学生であり、予想しない大事故に巻き込まれ、無限に広がる未来を一瞬にして閉ざされた無念は察するに余りある」と述べる際、時折、声を詰まらせる場面がありました。

 判決後、遺族らは会見を開きました。大学2年生だった次男の田原寛さん=当時(19)=の父、義則さん(57)は「予見可能性があったと判決が認めた。それなら、なぜ回避できなかったのかと思うと、悔しい、悲しい、怒りがこみ上げる。寛の父として前を向き、二度と起きないよう世の中を良くしようと約束して、遺族会活動をやってきた」と語りました。


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