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2023年6月9日(金)

同性婚認めぬ法「違憲状態」

家族と承認されない重大な不利益

福岡地裁判決

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(写真)「違憲判決」との横断幕を掲げ、喜び合う原告と弁護団、支援者ら=8日、福岡地裁前

 法律上の性別が同じ人との結婚(同性婚)を認めない民法や戸籍法の規定は憲法13、14、24条に反するとして福岡、熊本両県の同性カップル3組が国を相手取り損害賠償を求めていた訴訟の判決が8日、福岡地裁でありました。上田洋幸裁判長は、同性カップルが婚姻制度による利益を享受できず、法的に家族と承認されない不利益を被っていることなどを挙げ、憲法24条2項に違反する「違憲状態」と判断しました。賠償請求は棄却しました。

 同訴訟は全国5地裁6件で提訴され5件目の判決です。大阪が「合憲」とした以外は、札幌、名古屋が「違憲」、東京と福岡が「違憲状態」と判示。「違憲」「違憲状態」が大勢となりました。

 判決では、同性婚を憲法24条1項の「婚姻」に含むと解釈することは少なくとも現時点では困難と指摘。

 その上で、個人の尊厳などに立脚した婚姻や家族に関する法律を制定しなければならないとした24条2項について、「同性カップルは婚姻制度を利用することにより得られる利益を一切享受できず法的に家族と承認されないという重大な不利益を被っている」とし、こうした利益を一切認めず、自らの選んだ相手と法的に家族になる手段を与えていない規定は「個人の尊厳に立脚すべきものとする24条2項に違反する状態にある」と判断しました。

 一方、同性婚などへの法的保護に肯定的な意見が多くなったのは比較的近時であるとし、「立法府による今後の検討や対応に委ねることが必ずしも不合理とは言えない」と述べ、24条2項に違反するとまでは認めることができないとしました。法の下の平等を定めた14条についても、区別的な取り扱いには合理的な根拠が存在すると述べ、違反するとは言えないとしました。

 弁護団の共同代表の石井謙一弁護士は、裁判長の違憲状態の指摘の表現について「東京地裁よりも踏み込んだもの」と評価。森あい弁護士は「裁判所が認定した以上に(国民の理解は)進んだ状況にある」と話しました。

 原告らは胸をなでおろすように「ほっとした」など口々に語りました。


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