しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2023年6月8日(木)

昨年10月最賃12ユーロ引き上げ

独 580万人所得上昇

 ドイツの連邦統計局はこのほど、昨年10月1日に最低賃金を時給12ユーロ(約1800円)へ引き上げたことに伴う労働者の所得への影響を分析しました。それによると、全労働者の14・8%にあたる580万人の所得が上昇しました。

 引き上げの恩恵を受けた女性は約18%、男性は12%余でした。産業別では外食や宿泊などの接客部門で48%、農林漁業で41%の労働者が恩恵を受けました。

 昨年10月時点で、低賃金部門(平均収入の3分の2未満)で働く労働者は全体の15%で、同年4月の19%から半年間で大きく減少しました。ドイツでは22年7月にも最低賃金が9・82ユーロ(約1473円)から10・45ユーロ(約1568円)に引き上げられました。

 他方、昨年10月時点の正規雇用の労働者の平均時給は21・29ユーロ(約3194円)で、最低賃金12ユーロは平均時給の56・4%に相当します。欧州連合(EU)の最低賃金指令では、最低賃金は平均賃金の60%とするよう求めており、この基準には届いていません。

 ドイツ労働総同盟(DGB)のケルツェル連邦幹部は1日、声明を発表し、「最低賃金引き上げは正しかったことが示された。最低賃金は、労働者の保護という第1の目的を果たした」と指摘。「最低賃金引き上げで雇用が失われたと主張し続ける者は、夢物語の世界に生きている」と一部の政財界の主張を批判しました。

 ドイツでは6月末までに、最低賃金委員会が来年1月1日から適用される最低賃金の水準を決定します。ケルツェル氏は、インフレによって前回の最低賃金の引き上げの効果はほぼ相殺されており、さらなる最賃引き上げを求めていくと述べました。

 (伊藤寿庸)


pageup