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2023年6月8日(木)

主張

過去最低の出生率

希望持てる子育て安心社会を

 厚生労働省が、2022年の日本人の出生数は77万747人と発表しました。過去最少です。1人の女性が生涯に産む子どもの推計人数である合計特殊出生率は1・26で、05年と並び過去最低でした。日本が「子どもを産み育てづらい国」から脱却できない現実を改めて浮き彫りにしています。若い世代に希望を届け、本気で応援する政治への転換が必要です。

負担軽減と賃上げが急務

 人口を保つ合計特殊出生率は2・06~2・07とされています。日本は06年以降やや上向いたものの、16年に減少に転じ、7年連続での低下となりました。フランス1・8程度、スウェーデン1・6程度との差は開くばかりです。安倍晋三政権は15年に「希望出生率1・8」を目標に掲げましたが、スローガンばかりで、子育て支援の実効性は伴いませんでした。

 政府の国際的な調査(20年)で、日本は子どもを産み育てやすい国とは「思わない」との回答が60・1%に上りました。スウェーデンの2・1%、フランスの17・6%とあまりに大きな違いです。

 同調査で、日本の子育て世代が最重要課題としたのは「教育費の支援、軽減」(69・7%)です。教育費負担の重さは子どもを持つことをためらう大きな要因につねに挙げられます。世界でも高すぎる教育費の負担軽減を本格的に図ることがなにより急がれます。

 しかし、岸田文雄政権の「少子化対策」は学費引き下げに全く触れず、国民の切実な声にこたえていません。1日に示した「こども未来戦略方針」案に教育費負担軽減策として盛り込んだ「授業料後払い制度」は、“新たな学生ローン”と批判が相次いでいます。

 日本共産党は5日、▽学費の無償化をめざし、直ちに半額にする▽給付奨学金中心の制度への改革▽貸与奨学金の返済を半額にする―などの提言を発表しました。どんな経済的条件でも教育を受ける権利を保障するのが国の責任です。1人平均300万円にのぼる奨学金返済がのしかかっている若者世代の苦しみは一刻も早く取り除かなければなりません。

 非正規雇用の拡大で若い世代の所得が抑えられ、派遣・契約社員に雇い止めの不安がつきまとう現状では、希望は持てません。正規雇用でも長時間労働は出産・子育ての重大な障害です。家事も育児も女性が1人で担う実態をただすためにも、8時間働けば普通に暮らせる社会に変える働き方の抜本改革こそ必要です。

 最低賃金の大幅引き上げをはじめ所得を増やす政策の推進が不可欠です。

個人の権利保障を土台に

 子どもを産むか、いつ産むか、何人持つかは、それぞれの女性とカップルの選択であり、その権利は保障されなければなりません。

 国が人口や出生率の数値目標を設定することは、個人、とくに女性にたいして結婚・出産への圧力をかけ、自己決定権の侵害になる危険も指摘されています。

 政府の役割は、出産・子育てを希望しても実現できない「壁」を取り除くことです。女性ばかりに負担を求める固定的な性別役割分担を社会からなくす取り組みは欠かせません。子ども・子育てに「冷たい国」から抜け出すために、古い自民党政治を大本から切り替えることが重要となっています。


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