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2023年6月7日(水)

主張

マイナ誤登録続々

保険証廃止やめ仕組み見直せ

 健康保険証の廃止などを定めた改定マイナンバー法が国会で成立した後もマイナンバーカードを巡るトラブルが次々に明らかになっています。保険証の誤登録は命を危うくしかねない重大な問題です。2024年秋の保険証廃止は中止し、仕組みのあり方を全面的に見直すべきです。

2月に把握して公表せず

 医療現場では、すでに大混乱が起きています。全国保険医団体連合会が医療機関を対象に行った調査では、マイナカードを使った保険資格の確認で2481件のトラブルが報告されました。その63・5%にあたる1575件が、システムで「無効」「該当資格なし」と表示されたというものです。カードや、カードを読み込む機械の不具合も多数ありました。

 本人が持参した保険証で保険資格を確認した例が1634件と、保険証の提示でトラブルを切り抜けたケースが66%に上りました。保険証を廃止すれば、混乱の拡大は必至です。

 マイナカードに別人の保険情報が登録されていた事例は、厚生労働省によると、7300件以上確認されています。保団連調査でも63件ありました。

 マイナカードの保有者が健康保険証としての利用に同意していないのに利用登録されていたケースも判明しました。

 マイナンバーと公金受取口座をひもづける制度では、本人ではなく家族の別の人の口座が登録されていた事例があったことが明らかにされました。行政機関などからの給付金が本人に届かない恐れがあります。改定マイナ法には、公金受取口座とマイナンバーのひもづけを促進する条項が含まれています。

 政府はこれらのトラブルを2月までに把握しながら、公表したのは、改定法案が衆院で可決された4月27日以降でした。審議への影響を恐れて、衆院通過まで隠していた疑いが濃厚です。政府の責任は重大です。

 マイナカードに別人の保険情報が登録されていた件は、2月に開かれた、保険証との一体化に関する政府の検討会で報告されました。加藤勝信厚労相は5月16日の参院厚労委員会で、検討会の前に報告を受けていたと答弁しました。

 本人が希望しないのにマイナカードに保険証が一体化された件では、厚労省が自治体に登録の解除を指示する事務連絡を2月に出しながら公表しませんでした。

 公金受取口座の別人ひもづけは、2月の税金還付申告の手続きで明らかになり、デジタル庁は国税庁から連絡を受けていました。

法の実施許さない運動を

 4日に報じられたJNNの世論調査ではマイナンバーの活用に不安を感じているとの回答が72%を占めました。朝日新聞が5月末に行った世論調査では保険証との一体化に55%が反対しました。

 ところが岸田文雄首相は6日、デジタル社会推進会議で、「システムの再点検」を指示する一方、運転免許証、介護保険証などとマイナカードの一体化を進めると表明しました。国民の不信を招いたことへの反省はありません。

 今必要なのはマイナ保険証の運用をやめ、問題点をすべて究明することです。改定マイナンバー法の実施を許さないたたかいを広げていくことが重要です。


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