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2023年6月4日(日)

主張

天安門事件と中国

厳しく問われ続ける武力弾圧

 1989年、北京の天安門広場に集まって非暴力で民主化を求めていた学生らを中国当局が武力弾圧した事件から4日で34年です。中国国内では今も事件への批判が禁止されています。すべての人権と基本的自由を守り発展させることは、どんな政治体制の国であっても国家が果たすべき義務です。中国政府は自ら参加する国際的な人権取り決めに基づいて歴史的誤りに向き合うべきです。

暴挙正当化は許されない

 2021年11月に中国共産党が中央委員会の総会で採択した「歴史決議」は、1989年の「政治的風波」「動乱」から「社会主義の国家政権と人民の根本利益を守り抜いた」と、改めて当時の対応を正当化しました。学生らが集まる広場に戦車や武装兵士を突入させ、発砲で多くの死傷者を出したことには口をつぐんでいます。

 中国は自らを社会主義・共産主義と称していますが、言論による政府批判を武力で押しつぶすことは、それとはまったく無縁な暴挙です。日本共産党は当時ただちに「中国党・政府指導部の暴挙を断固糾弾する」との中央委員会声明を発表して厳しく抗議しました。

 日本共産党は、毛沢東時代の干渉・攻撃で断絶していた中国共産党との関係を98年に正常化した際も、不破哲三委員長(当時)が天安門事件について、平和的な運動を武力行使で抑えることは正当化できない暴挙と中国側に指摘した上で「言論による体制批判にたいしては、これを禁止することなく、言論で対応する」ことを求めました。その後もこの立場を繰り返し表明してきました。

 今年5月、中国に「日中両国関係の前向きの打開のために」の提言を申し入れた際にも、志位和夫委員長は、地域の平和と安定のための緊急の課題で協力などの努力をはかることを表明しつつ、中国の問題点に対する日本共産党の批判的立場は変わりないと明確にしました。

 国際的な取り決めに明記された自由と人権の規定は、長期にわたるたたかいで勝ち取られた人類の重要な成果です。

 中国政府自身、世界人権宣言、国際人権規約、ウィーン宣言などの人権取り決めに署名や支持をしています。

 1948年の国連総会で決議された世界人権宣言は、人権を無視したことが「人類の良心を踏みにじった野蛮行為」をもたらしたとし、すべての国民が達成すべき「共通の基準」としてさまざまな人権を規定しました。

 国際人権規約は、すべての人の人権を認めることが「世界における自由、正義および平和の基礎をなす」とし、自由権規約に「表現の自由」「集会の自由」「結社の自由」などを明記しています。中国政府は98年に署名しています。

人権守ることは国際問題

 93年の世界人権会議で採択されたウィーン宣言は「すべての人権および基本的自由の促進および保護は、政治的、経済的、文化的体制のいかんを問わず、国の義務である」ことを明確にしました。

 人権は国際問題です。中国政府は人権を巡る国際社会の批判を「内政干渉」として拒むのでなく、すべての人権と基本的自由の発展に努めるべきです。そのためにも天安門事件の反省は避けて通れません。


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