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2023年5月31日(水)

研究者一人が逆転勝訴

大阪高裁 杉田水脈氏に賠償命令

 杉田水脈自民党衆院議員が、日本学術振興会科学研究費(科研費)の助成を受けて行われた日本軍「慰安婦」問題やジェンダー・フェミニズム関連の研究に対して繰り返した誹謗(ひぼう)中傷で名誉を毀損(きそん)されたとして、牟田和恵・大阪大学名誉教授ら研究グループ4人が杉田氏に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が30日、大阪高裁でありました。清水響裁判長は、原告の請求を退けた一審判決を一部覆し、杉田氏に牟田氏への33万円の支払いを命じました。

 原告は他に岡野八代・同志社大学教授、伊田久美子・大阪府立大学名誉教授、古久保さくら・大阪公立大学准教授。この3氏の控訴は棄却されました。

 判決は、杉田氏が「研究グループが科研費助成期間終了後に経費を支出していて『ずさん』だ」などと発言したことに対し、その事実は認められず、原告の「名誉を毀損する違法なもの」であるとしました。

 京都地裁の一審判決は、原告の「慰安婦」研究を「ねつ造」と中傷した杉田氏の発言を正当化するなど、歴史修正主義に基づく判断で、原告らはこれらを「とうてい納得できるものではない」として認定を改めるよう求めていました。

 しかしこの点については大阪高裁も「歴史的事実としての慰安婦問題の性質決定」は、「論者の思想により左右される側面があ」り、「立場・見解の相違がある」などと述べ、原告の訴えを退けました。

 判決後の記者会見で牟田氏は「日本学術会議の会員候補任命拒否など、政治が学問に介入しようとしている今、杉田氏の科研費に対する発言について不法行為責任が認められたことは大きい」と述べました。

 会見後、大阪市中央公会堂で開かれた報告集会には100人を超える支援者が集まり、原告4人に花束を贈りました。

 (日本共産党学術・文化委員会 朝岡晶子、関西総局 速水大地)


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