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2023年5月30日(火)

主張

最低賃金引き上げ

全国一律1500円実現こそ

 物価高騰が止まらない中で、最低賃金の引き上げは極めて切実です。今年の最低賃金の目安を審議する中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)が近く始まります。時給1500円への引き上げと時給で219円もの違いがある地域間格差をなくすことが急務となっています。

地域差なくす法改正を

 4月の消費者物価は、前年同月比3・4%増と20カ月連続で上昇しています。電気料金は大手電力7社で15%余りから43%余りの大幅値上げが認可されました。食料品など生活必需品の高騰は、とくに低所得層への大きな打撃です。

 2022年10月からの最低賃金は、全国加重平均で時給961円です。月150時間のフルタイム並みに働いても年収170万円でワーキングプアの水準です。

 各国は最低賃金を引き上げています。米ワシントン州は2195円、オーストラリアは1965円、フランスは1690円と、日本を大きく上回っています。

 地域間の格差も問題です。最低賃金の最高額の東京都の1072円と青森など10県の853円では、2割ほどの差がついています。

 しかし、全労連などの生計費調査によると最低生計費は全国ほとんど差がありません。都市は住居費が高いものの、地方は自動車を利用する人が多く維持費などがかかります。

 現在の最賃制度は各都道府県をランクごとに分けて目安を示し、各地の地方最賃審が最賃額を決定します。中央最賃審は4月、ランク区分を4段階から3段階にする報告書をまとめましたが、地域間格差の迅速な解消は望めません。

 全労連と国民春闘共闘委員会は、地域間格差の解消に向けて「全国一律最低賃金制度」の実現へ法改正を求めています。法改正署名への反響は大きく20万人を突破しました。日本弁護士連合会も「目安制度に代わる抜本的改正案として、全国一律制実現」を会長声明(4月14日)で求めています。

 最賃の引き上げは、経済の底上げにも大きく貢献します。労働運動総合研究所(労働総研)は2月、時給1500円未満で働く全国の労働者(官公庁の非正規雇用の職員を含む)2823万人の時給を1500円に引き上げた場合の経済に与える効果を推計しました。その場合、国内生産額は17・9兆円引き上がり、新たに106・6万人の雇用が生まれ、国内総生産(GDP)が1・9%上昇するとしています。

 中小企業の側でも引き上げを望む声が広がっています。日本・東京商工会議所の調査(3月公表)によると、最低賃金を「引き上げるべき」と回答した企業は23年に42・4%となり、21年の28・1%、22年の41・7%から増加を続けています。一方、「引き下げるべき」「現状の金額を維持すべき」の合計は、21年の56・6%、22年の39・9%、23年の33・7%と年々減少しています。

内部留保課税で支援財源

 最賃の引き上げには、中小企業への支援が欠かせません。500兆円にも及ぶ大企業の内部留保への5年間で10%の時限的課税によりうまれる総額10兆円の財源で支援を抜本的に強化できます。

 岸田文雄政権は、国民の声に応え、最賃を大幅に引き上げ、暮らしを守る責任を果たすべきです。


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