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2023年5月29日(月)

きょうの潮流

 みんなが「恐竜」になりきって走ろう。最近、おとなから子どもまでティラノサウルスの着ぐるみで駆けっこをする不思議なイベントが広まっています▼この「ティラノサウルスレース」は米国が発祥とされ、楽しげな様子が日本にも伝わり各地で催されるように。笑いにつつまれた空間には、恐竜へのあこがれとともに滅びたものへの哀愁も漂います▼それぞれの着ぐるみもそうですが、最強の肉食恐竜ティラノサウルスといえば、歯をむき出しにして迫りくるイメージ。ところが、最近の研究発表では歯は唇に覆われていた可能性が高いと結論付けました。肉食恐竜の口はワニよりトカゲに似ているといいます▼以前からそのことを指摘してきた爬虫(はちゅう)類学者の青木良輔さんは、あごを閉じると歯が見えるというワニの特徴が復元の過程で入り込み、間違ったイメージがつくられてしまったと(『ワニと龍』)。そして、ワニのような口唇の退化は水陸両生の生活のなかで生じたものであるとしています▼恐竜が生きていた時代から今日に至るまで連なっているワニに、人類は失ってきたものの姿を重ねてきたという青木さん。想像上の動物である龍も、ワニとは深い関係にあることを先の著書でひも解いています▼いまそのワニをふくめ、世界に生息する爬虫類の5分の1が絶滅の危機にひんしています。なかには生きた化石といわれるムカシトカゲも。先のレースには、人類が多種多様な生物とともにありたいとの思いも込められているはずです。


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