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2023年5月27日(土)

主張

首相公邸の忘年会

国民の不信を広げる公私混同

 岸田文雄首相の長男で首相秘書官を務める岸田翔太郎氏が昨年末、首相公邸で親族と忘年会を開いていたことが発覚し、批判を集めています。公邸は、首相や家族が居住するだけでなく、来日した海外首脳らとの会談にも使われています。翔太郎氏らは公務に使われるスペースでも記念写真を撮るなどしていました。翔太郎氏をめぐっては今年1月、首相の外遊に同行した際、公用車を使って土産を購入したり、観光したりした疑いが問題になりました。公私混同が目に余る翔太郎氏は首相秘書官としてふさわしいのか。任命した首相の責任が改めて問われます。

親族10人以上が集まって

 公邸の忘年会は25日発売の『週刊文春』が報じました。昨年12月30日、岸田首相の親戚あわせて10人以上が集まり、翔太郎氏らが赤じゅうたんを敷いている階段での集合写真の撮影などに興じていたとされます。赤じゅうたんの階段に寝そべった参加者の写真もありました。この階段は、昨年8月の岸田内閣の改造時に閣僚の記念写真が撮られた場所です。同誌は、首相が使う演説台で参加者が“記者会見ごっこ”をする写真なども掲載し「岸田一族」「大ハシャギ写真」と見出しを立てています。

 公邸は、迎賓や執務機能を持つ公的施設であり、警備体制もとられ、税金を使って維持管理されています。

 松野博一官房長官は25日、報じられた事実を認めました。また、居住スペースでの食事の場に岸田首相も顔を出し、あいさつをしていたことも明らかにしました。首相は同日、翔太郎氏を厳重注意したと記者団に述べましたが、処分や更迭については否定しました。

 首相は、公邸の忘年会は報道された後に知ったと説明しています。しかし、このような行為が5カ月近く首相の耳に届いていなかったとすれば、首相が日常的に使う公的施設の管理のあり方としても問題を残します。

 岸田首相が翔太郎氏を政務担当の首相秘書官に起用したのは昨年10月でした。翔太郎氏が将来、岸田首相の選挙区を引き継ぐと言われていることから「世襲をにらんだ布石」との指摘が出されています。

 今年1月の岸田首相のヨーロッパ外遊では、翔太郎氏がパリやロンドンで大使館の公用車に乗り、観光名所を訪ねて写真を撮ったり、高級店で閣僚らの土産品を購入したりしていたことが『週刊新潮』(2月2日号)で報道されました。この時も公私混同だと批判され、翔太郎氏の秘書官としての資質を問う声が相次ぎました。岸田首相は、土産購入は公務であり問題ないとかばいました。写真撮影は官邸の情報発信のためのような説明が行われましたが、広報活動に使われた形跡はありません。

私物化に反省があるのか

 岸田首相は一昨年、自民党総裁選出馬にあたり、「国民の声」を丁寧に聞くことや、政治の信頼回復を強調しました。安倍晋三首相の時代以降あらわになった国政私物化や疑惑まみれのモラル崩壊に対する国民の厳しい批判を意識したものだったことは明らかです。

 長男を秘書官に起用し、疑念を持たれる行為をしても厳しく処断できない岸田首相の姿勢は、身びいきで政治を私物化しているとしかみえません。


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