しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2023年5月27日(土)

きょうの潮流

 唱歌「ふるさと」の舞台にもなった地でした。長野県北部にある中野市。見渡せば里山の風景がひろがり、田畑と住宅が混在する地区で、その陰惨な事件は起きました▼この地区の民家に住む30代の男がナイフと猟銃で4人の命を奪い、自宅に立てこもりました。犠牲になったのは警官2人と近くに住むという女性2人。避難した住民らは恐怖におののきながら一夜をすごしました▼容疑者の男は両親とともに果樹園やジェラート店を営み、父親は中野市議会の議長を務めています。犯行の動機や猟銃を手に入れた経緯はまだ不明ですが、男は容疑を認めているといいます▼なぜ、こんな残虐な行為に至ったのか。現時点では立てこもった際の要求なども伝えられず、計画性もみえてきません。いくつもの疑問だけが募ります▼同じ25日、福岡・筑後市で20代の男が警察署の駐車場に車で突っ込み、車を炎上させる事件を起こしていました。人通りの多い日中に銀座の高級時計店に押し入った強盗事件といい、どうも最近はあと先を考えない短絡的、衝動的な犯行が目につきます▼たやすく悪の道に転げ落ちていく投げやりさ。人の命や財産を奪いとることへのためらいのなさ。それはどこから来るのか。孤立感や生きづらさ、社会に漂う閉そく感が影響しているかどうかは計り知れませんが、こうした犯行をうみだす土壌になっているとすれば不安はつきません。この国を覆う先行きのみえない暗さ。それが相次ぐ事件を、いっそう陰うつとさせます。


pageup