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2023年5月25日(木)

軍拡財源法案 小池議員の質問(要旨)

参院本会議

 日本共産党の小池晃議員が24日の参院本会議で行った、軍拡財源法案に対する質問(要旨)は次の通りです。


 G7サミットの「広島ビジョン」が、核兵器による威嚇で他国を抑えようという「核抑止力」論を公然と正当化する一方、核兵器禁止条約を無視したことに失望と批判が広がっています。政府は「核抑止力」論ときっぱり決別し、核兵器禁止条約に参加すべきです。

 本法案は、岸田政権が昨年閣議決定した安保3文書に基づき、「敵基地攻撃能力」を保有するために、今後5年間で43兆円の軍拡財源を確保するための「防衛力強化資金」を創設するものです。敵基地攻撃能力の保有に踏み切り、軍事費を国内総生産(GDP)比で2%に倍増させる大軍拡を進めようとしています。2倍になれば軍事費は世界第3位となります。

 外務省のファクトシート「平和国家としての60年の歩み」には、専守防衛の具体的内容として「防衛費の対GDP比は1%程度」があげられています。政府の見解に照らしても軍事費の2倍化は「専守防衛」に反します。

 世界第3位の軍事支出をするような国が、「他国に脅威を与えるような軍事大国」ではないと言えるのですか。

 そもそも「GDP比2%」は、総額ありき、米国からの要求にこたえるものだったことは明らかです。

 敵基地攻撃は米軍と自衛隊が融合・一体化して行使されることになります。米国の要求に応え、その戦略に付き従い、日本に戦火を呼び込む大軍拡計画の撤回を強く求めます。

 法案では、軍拡財源への「不当な流用」も大きな問題です。国立病院機構、地域医療機能推進機構の積立金などを国庫に返納させ「防衛力強化資金」に繰り入れようとしています。地域医療機能推進機構の積立金の残額は年金会計への返納が法定されています。

 法律上、国庫に繰り入れることができない資金まで軍拡財源として繰り入れることを横行させるのは、まともな法治国家のやることではありません。公的病院の積立金は、職員の処遇改善と医療提供体制の強化に充てられるべきです。

 東日本大震災の復興特別所得税を、軍事費に転用しようとしていることも重大です。被災地を置き去りにした復興税の軍事費転用も撤回を強く求めます。

 会計年度ごとに予算を作成して国会で審議する「単年度主義」=財政民主主義の破壊も大問題です。さまざまなお金をかき集め「防衛力強化資金」に注ぎ込み、防衛省が複数の年度にわたり自由に使えるようにしています。憲法86条と財政法11条に規定する予算の単年度主義を破壊するものです。戦前の教訓からも、とりわけ軍事費は厳格な民主的コントロールの下に置かれなければなりません。

 政府の「財源案」なるものは、穴だらけです。「歳出削減で3兆円を生み出す」と言いますが、来年度以降の見通しは立たず、教育、中小企業や農業予算などが削られた上、社会保障予算のさらなる削減につながります。決算剰余金を軍事費に充てようとしていますが、その元となった巨額の予備費の原資は赤字国債です。未来の世代にばく大な増税を押しつけることになりかねません。

 増税を止める唯一の道は大軍拡を中止することです。専守防衛を投げ捨て、憲法の平和主義を踏みにじり、くらしも財政も経済も破壊し、大増税に道を開く「軍拡財源法案」は、参院での徹底審議の上、廃案とすることを強く求めます。


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