しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2023年5月24日(水)

徹底追及 統一協会

「聖地」リゾート開発

440トン級クルーザーも 献金強化の恐れ

 統一協会(世界平和統一家庭連合)の本部がある韓国・清平(チョンピョン)で、豪華宮殿「天苑宮」の建設に続き、「花鳥苑」や遊覧船が発着する港などのリゾート開発が韓鶴子総裁の指示で進められています。全国霊感商法対策弁護士連絡会は、日本の信者から集める巨額の資金をあてにした計画だとして危機感を強めています。(統一協会取材班)


写真

(写真)統一協会が清平湖で運航する巨大クルーザーとマリーナを紹介した動画

写真

(写真)リゾートホテルの完成予想図が掲載された統一協会の関連サイト

 統一協会は7日、雨天を理由に延期していた天苑宮の奉献式(完工式)を開きました。天苑宮は「神様が在臨される唯一無二の聖殿」で「この世のどんな建造物よりも美しさと威厳を持たなければならない」とされ、日本の信者に1家庭あたり183万円もの献金が呼びかけられました。野外には彫刻公園も整備されます。

 天苑宮の完成は「真のお母様(韓総裁)」の願いだとされてきました。ただ、聖地・清平での開発は豪華宮殿だけではありません。

「新しい名所に」

 天苑宮奉献式の翌日、韓総裁が出席して開かれたのが、花鳥苑の完成を祝う式典です。

 式典のダイジェスト動画によると、花鳥苑は「美しく整えられた花々」や「さまざまな鳥」を見ることで自然の大切さを学ぶ施設です。大型のインコが放たれた温室、花や木が植えられた広大な庭園があります。

 この日、韓総裁は清平湖に面したマリーナ(港湾施設)の除幕式にも出席。動画では、遊覧船として運航される440トン級の巨大クルーザーを紹介しながら「北漢江流域の絶景と格別な美しさを提供する新しい名所になる」と宣伝しています。

 統一協会の関連サイトでは、テニスコートやサッカー場、庭園などを併設したリゾートホテルの完成予想図も掲載しています。

 清平でのリゾート開発は、韓総裁が2016年に提唱した「HJ天苑プロジェクト」の一環です。開祖・文鮮明と妻の韓総裁をたたえる場である聖地が「地上天国のモデル」「神様が夢見てこられたエデンの園」になるとし、同プロジェクトの意義を強調しています。

建設費公表せず

 プロジェクトの概要を紹介した統一協会の資料は、韓国語と日本語、英語で書かれています。聖地を「天苑」と命名した韓総裁の思いに触れ、信者に向けて次のようなメッセージで“協力”を呼びかけています。

 「祝福家庭たちがHJ天苑プロジェクトの課業完遂のために共に精誠を捧(ささ)げることが期待される」

 統一協会の元幹部は、文鮮明の死後に韓総裁のもとで清平の開発が急速に進んだといいます。

 統一協会の被害者救済に取り組む渡辺博弁護士は、同プロジェクトについて「統一協会には韓総裁の権威を形にして後世に残したいという思惑があり、そのためのハコモノ計画が信者から献金を集める口実にもなる」と指摘します。

 一連の施設の建設費は公表されていませんが、億単位の金額になることは確実です。

 信者の妻が統一協会に献金を繰り返すという九州在住の上村雅博さん(70代)=仮名=は「使途が分からなくても、信者は何の疑いもせずに献金をする。『天国に行ける』と言われるだけで、手元には何も残らない。リゾート開発でも日本の信者に多額の献金を求めるのではないか」と憤りをあらわにしています。


pageup