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2023年5月24日(水)

タイ8野党 連立覚書

民主的憲法、同性婚合法化…

外交はASEAN重視

 【ハノイ=面川誠】タイ下院総選挙で第1党になった前進党など野党8党は22日、連立政権が実行する政策をまとめた覚書を締結しました。民主的憲法の制定、同性婚の合法化などを盛り込んでいます。対外政策では東南アジア諸国連合(ASEAN)を重視し、特定の大国に偏らない外交を目指します。タイのメディアが伝えました。


 前進党が強く訴えていた王室批判を封じる不敬罪の改定は、第2党のタイ貢献党が消極的で一致できず、覚書に盛り込まれませんでした。「立憲君主制の枠組み内の民主主義と君主の不可侵的地位」を明記することで、憲法に基づく民主主義を強化する原則を確認しました。

 覚書は前進党の公約を中心に23項目。▽軍の政治的介入を防ぐ新憲法の制定▽近代化・民主主義・文民政府に合致する軍改革▽徴兵制の廃止▽産業独占の廃止と公正な競争の実現▽所得の増加による経済活性化▽労働者の権利向上と公正な雇用条件の確立▽若者と高齢者の福祉促進―などを推進します。

 首相就任を目指す前進党のピタ党首は記者会見で「これは政府を平和的に民主主義に移行できることを示す歴史的瞬間だ」と述べました。

 外交面ではASEAN内でタイの主導的役割を回復するとともに、「タイと各大国との間のバランスの取れた国際関係を維持する」として、特定の大国に偏らない外交政策を推進する姿勢を明確にしました。

 ピタ氏はタイのような中堅国も「ルールに基づく外交」を主導できると主張。各国と国際機関との間で相互利益を実現するという観点から外交政策を樹立すると強調しました。

 8野党は下院500議席のうち313議席を占めます。首相選出には上院議員250人も加わるため、計750人の過半数を獲得するためには、少なくとも上院議員63人の支持が必要です。軍政期に任命された上院議員には、民意に従うかどうかが問われています。


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