しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2023年5月24日(水)

軍拡財源法案 田村貴昭氏の反対討論(要旨)

 日本共産党の田村貴昭議員が23日の衆院本会議で行った軍拡財源法案への反対討論の要旨は次の通りです。


 第一に、憲法9条を真っ向から踏みにじり、国民の命を危険にさらす大軍拡は断じて認められません。日本国憲法は、アジア2000万人以上、日本国民300万人以上の犠牲者を出した侵略戦争への痛苦の反省のもとに、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起きないようにと決意しつくられたのです。

 ところが、岸田政権は歴代政府が建前としてきた専守防衛さえ投げ捨て、敵基地攻撃能力保有に公然と踏みきり、集団的自衛権の行使としての使用まで可能だとしています。日本が攻撃を受けていなくても、他国の紛争に自ら参戦し、相手国の領土を攻撃することが憲法9条のもとで許されるはずがありません。その結果は、報復攻撃による国土の焦土化です。

 日本の敵基地攻撃能力は、日本が独自に運用するものではなく、米国の「統合防空ミサイル防衛」(IAMD)計画の一翼を担い、米国の指揮統制のもとで運用されるのは、日米軍事一体化の実態から明白です。戦後、米国は先制攻撃戦略を公然と掲げ、国際法違反の侵略戦争を繰り返してきました。米国の戦略につき従い、米軍の矛の役割まで肩代わりし、日本に戦火を呼び込む危険極まりない大軍拡計画は即刻撤回すべきです。

 第二に、大軍拡のため、現在と将来の国民への新たな負担の押し付けは絶対認められません。政府は今後5年間で軍事費を国内総生産(GDP)比2%に引き上げ、43兆円もの大軍拡を推し進めようとしていますが、2%の具体的な根拠を示せませんでした。米国の2%の軍拡要求に応えるために、国民に新たな負担を押し付けることなど許されません。

 すでに今年度の対外有償軍事援助(FMS)は、前年度の4倍という破格の伸びになっています。400発もの長距離巡航ミサイル・トマホークの大量一括購入、青天井の洋上イージス計画など、米国製兵器の爆買いに国民の税金を湯水のようにつぎ込む政府の米国追従を断じて認めるわけにはいきません。

 国立病院機構と地域医療機能推進機構(JCHO)の積立金を「不要見込み」として軍拡財源に充てる計画ですが、どちらの機構の病院も老朽化した建物を多く抱え、看護師の大量離職も起きています。施設の改善や医療従事者の待遇改善にこそ使うべきものの軍事費への流用など断じて認められません。

 東日本大震災の復興に充てる復興財源特別所得税の軍事費への転用に、東北の被災者と被災自治体から批判の声が巻き起こっています。世論調査では、復興財源の転用に73%が反対、「防衛増税」を「支持しない」は80%に上り、最も多い理由は「今以上の税負担に耐えられない」ことです。国民の暮らしを追いつめる大軍拡・大増税はやめるべきです。

 軍拡財源のための国債発行について、「未来の世代に対する責任として取り得ない」と述べたのは岸田首相自身です。ところが決算剰余金の元になった巨額の予備費の原資は赤字国債です。結局、未来世代に増税を押し付けるのは明らかです。

 しかも戦後初めて軍事費への建設国債の発行にも踏みきります。軍事費を特別扱いし、無期限で予算をプールし活用する「防衛力強化資金」の仕組みは、戦前の「臨時軍事費特別会計」をほうふつとさせます。侵略戦争遂行のために国の財政と国民生活を破綻させた痛苦の歴史を思い起こすべきです。

 政府がやるべきは、地域の分断と対立の拡大や際限なき軍拡競争を招く軍事力強化ではありません。憲法9条を生かし、地域のすべての国を包摂する平和の枠組みを発展させる外交に全力を尽くすよう求めます。


pageup