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2023年5月24日(水)

主張

株高・大企業業績

いまこそ賃上げで格差是正を

 東京株式市場で日経平均株価が1990年以来33年ぶりの高水準です。大企業の決算も好調です。その一方、労働者の賃上げは物価高に追いつかず、実質賃金は12カ月連続で減少が続き、2022年度は前年度比でマイナスとなりました。大企業は増えた利益で、賃上げや正社員の増員に踏み出すべきです。

迫られる内部留保の活用

 自動車大手7社の23年3月期決算は、日産など5社が増益となりました。スズキと三菱自動車の純利益は過去最高です。半導体不足が和らいだことに加え、円安で輸出や海外事業による利益が膨らみました。各社が同時に発表した24年3月期の業績予想では、さらに利益を増やす見込みです。トヨタ自動車は営業利益で日本企業初の3兆円台を狙います。

 大手総合商社は、純利益が初めて1兆円台を超えた三菱商事と三井物産をはじめ軒並み最高益を更新しました。ロシアのウクライナ侵略に伴う資源価格の高騰と円安による輸入物価の上昇は国民の生活に大きな打撃を与えましたが、大手商社は利益を増やしました。

 銀行では三菱UFJ、三井住友、みずほの3メガバンクグループがそろって大幅増益でした。

 東京株式市場では海外投資家の「買い」が「売り」を大幅に上回る状態が続き、株価を押し上げています。円安は、ドル換算で日本株を“お買い得”にし、海外勢の買いを促進しています。

 大企業がもうけを増やす一方、23年春闘の賃上げ回答は、連合の集計によると、加重平均で月1万923円、3・67%増(定期昇給相当分込み)です。急激な物価高に見合っていません。

 消費者物価上昇率は年初に前年比で4%を超え、その後も3%台が続いています。民間信用調査会社、帝国データバンクによると、23年の食品値上げは今後の計画を含めて2万品目を超えます。総務省の家計調査で試算すると、家計の支出は前年比で月1万円増となります。

 大企業が賃上げを低く抑え、過去最高の500兆円に達した内部留保をさらに積み増すことは許されません。政治が役割を果たして内部留保を賃上げに活用しなければなりません。

 アベノミクスで膨れ上がった大企業の内部留保に5年間の時限的な課税を行い、10兆円の財源をつくって中小企業の賃上げを本格的に支援することが必要です。大企業が賃上げした分を課税から控除することによって、大企業労働者の賃上げも促進できます。

 6月には中央最低賃金審議会の議論が本格化します。現在の全国加重平均、時給961円はあまりに低すぎます。労働者の生計費を考えれば、1500円以上への引き上げと全国一律制の実現が不可欠です。

非正規から正規へ転換を

 非正規雇用労働者の正社員化も進めなければなりません。非正規雇用は歴代政権が労働法制を改悪したことで1990年代から増え、いまや男性労働者の2割、女性労働者の5割以上を占めています。正規と非正規の賃金には大きな差があります。

 非正規を正規に転換する流れをつくりだすとともに、同一価値労働同一賃金、男女賃金格差の是正を実行すべきです。


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