2023年5月23日(火)
「G7首脳広島ビジョン」
反核団体・識者 怒りと失望
“リスク意図的に無視”“被爆者の願い聞かず”
主要7カ国首脳が19日に発表した、核兵器による抑止力を強調した「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」(広島ビジョン)をめぐり、海外の反核団体や識者の怒りと失望が広がっています。
国際NGO「グローバルゼロ」のデレク・ジョンソン代表は声明で、現在核兵器が紛争で使用されるリスクがこの上なく高まっている中で「核兵器をゼロにしなければいけないという緊急性を(G7首脳は)誰も認識していない」と批判。首脳たちは被爆者からの教訓を自国に持ち帰り、二度と核兵器が使用されないために意義ある措置を講ずるべきだと訴えました。
米国の核兵器専門家のハンス・クリステンセン氏は、広島ビジョンはロシアと中国への批判を除き、本質的にこれまで表明してきた政策を並べているだけで「全く新しくも何もない」と指摘。核戦争防止国際医師会議(IPPNW)は「被爆者と市民社会が求める核軍縮の進展に失敗した」と強調しました。
国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)は声明で、広島ビジョンは「核兵器のリスクと人道的結末を意図的に無視している」と批判。G7首脳は広島ビジョン発表前に被爆者に面会しながらも「被爆者が求めていることを実際には聞いていなかったことが示された」と断じました。
国際原子力機関(IAEA)のモハメド・エルバラダイ元事務局長はツイッターで、広島ビジョンは「後退だ」として「意図的なあいまいな文言で、決意が足りない」と指摘しました。