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2023年5月22日(月)

ワールドリポート

理不尽スタバ VS. 労組と市民

労組つぶし目的に店舗閉鎖の圧力

たたかう労働者 消費者が支持

 米大手コーヒーショップ、スターバックスの店舗で、結成が相次ぐ労働組合を会社がつぶそうとしています。ニューヨーク州中部イサカは、5月初めに市内の全店舗の月内閉鎖が発表され、労組つぶしとのたたかいの最前線となっています。(イサカ=島田峰隆 写真も)


写真

(写真)スターバックスによる労働組合つぶしに抗議する集会に参加した人たち=12日、ニューヨーク州イサカ

地図

米NY州イサカ

 店舗閉鎖の発表からちょうど1週間の12日、イサカ市内の広場で、閉鎖の撤回と労働者の職場復帰を求める集会が開かれました。

 「仕事を失えば医療保険も失う。大学の学費も払えない。どうやって生きていけばいいのか」「私たちは賃上げや労働法の順守を求めただけだ。なぜ黙らせようとするのか」

 スターバックスの緑色の制服や労組づくりを進める「スターバックス・ワーカーズ・ユナイテッド(SBWU)」のTシャツを着た労働者が壇上に次々と駆け上がって訴えます。参加者は「イサカは労働組合の町」「労組つぶしはうんざり」と声援を送りました。

 イサカでは昨年春、スターバックスの3店舗すべてで労組が結成されました。市内の全店舗で労組ができた都市は全米で初めて。労組は労働環境の改善を求めてストを行うなどしました。

客が来るのに

 これに対しスターバックスは昨年、1店舗を閉鎖。今年5月5日には残り2店舗についても売り上げ減などを理由に26日までに閉鎖すると発表しました。会社側は留守番電話のメッセージなどで労働者に一方的に決定を伝えました。

 大学生のエバン・サンシャインさん(21)はその一人。スターバックスで3年半働いてきました。

 「閉鎖される店舗はニューヨーク市からの長距離バスの乗り場の目の前。乗客がひっきりなしに来店してきます。閉鎖する合理的理由はまったくありません」「全米で初めて全店舗で労組ができたイサカを狙い撃ちにしていることは明らかです」と憤ります。

 連邦政府の独立機関「全米労働関係委員会(NLRB)」は昨年11月、イサカで最初に閉鎖された店舗について、労組つぶしだとする労働者側の申し立てを支持。店舗の再開と解雇した労働者の再雇用を求めました。会社側は店舗閉鎖を「労組と無関係」だと主張しています。

支援が広がる

 イサカでは労組への支援が広がっています。市内を歩いて目につくのは「スタバ労組を支持するスタバ消費者」というプラカードです。解雇通告された労働者は毎日昼、店舗前で抗議行動に取り組んでいます。道行く車から応援のクラクションが鳴り響きます。

 12日の集会には地元のホルヘ・デフェンディニ市議(23)も参加。「会社側が何をしようと勇敢な労働者が労組をつくった歴史を消し去ることはできない。会社にお金があっても、団結した市民は必ず勝利する」と激励しました。

 サンシャインさんも「支持の広がり」を感じています。「スターバックスでの仕事は自分の人生の重要な一部です。簡単に諦めたくはありません。必ず復帰し、今後も良い職場をつくりたい」

学内から商品追い出そう

コーネル大学生 連帯の座り込み

 イサカにあるコーネル大学の学生は、労組つぶしとたたかう労働者に連帯して、大学がスターバックスと結ぶ販売契約を破棄し、学内で他のコーヒーショップの商品を売るよう求める運動を始めています。

 コーネル大学は政財界に卒業生を数多く輩出するアイビーリーグの一つ。学部生・院生合わせて約2万6000人が学びます。

 学生たちは「キャンパスからスタバを追い出そう」を合言葉に11~12日に学内で座り込みを実施。大学側は近く学生と話し合うことに同意しました。

 運動の中心的メンバーのニック・ウィルソンさん(19)は「全米に影響を与える大学が労組つぶしの企業と販売提携を結んでいることは見過ごせません」と話します。(イサカ=島田峰隆)


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