しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2023年5月22日(月)

きょうの潮流

 G7の会場となったホテルは、広島湾に浮かぶ宇品(うじな)島にあります。かつて、この一帯には旧陸軍の船舶司令部が置かれ、ここからあまたの若者が戦地へと送り出されました▼日本軍最大の輸送基地となった宇品。そこには無謀な戦争に突き進み破滅した国の足跡が刻まれています。その場所に各国の首脳が集まり話し合った内容をみると、強い違和感を覚えます▼ゼレンスキー大統領の来日によってウクライナへの支援が改めて強調されました。とくに欧米による軍事協力が強化され、米国製の戦闘機を提供することも。戦争当事国がそれを訴えたいのは理解できますが、戦況が激しくなればなるほど犠牲者は増え続けます▼侵略したロシアにこの戦争の責任があることは言うまでもありません。それを許せば国際社会は成り立たないでしょう。今回のサミットでも参加国を拡大して「平和で安定し、繁栄した世界」をテーマに議論したといいます。それは軍事ブロックを固めて対立と分断を先鋭化させることと矛盾しています▼なによりも政治の役割というのは、協調の道筋を探し、戦争を起こさせない努力を尽くすことにあるのではないか。最も戦争のむごさを伝える被爆地で、帰らぬ人たちを見送ったこの地で、一部の国々が結束を誇示する姿がふさわしいのか▼『暁の宇品』を著した堀川惠子さんは「宇品には、この国の過去と未来が凝縮されていた」と記しました。世界の人びともこの地で誓ったはずです。過ちは決してくり返さない、と。


pageup