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2023年5月21日(日)

きょうの潮流

 突然つかまれた足首の感触は今も残っています。足元から聞こえてきた「水…」の声。走って家にもどり井戸水をくんで飲ませると、その人はがっくりと息絶えました▼目もくらむ閃光(せんこう)、すさまじい爆風、黒い雨。火の海に包まれた街、皮膚が垂れ下がった血まみれの人びとの無言の列。毎日遺体を焼く煙とにおいが流れ、焼け跡のむこうの海が近く見えた―。8歳になったばかりの少女の、あの夏の記憶です▼広島で被爆した小倉桂子さん。原爆資料館でG7の首脳たちに自身の体験を語りました。ここで起きたことを追体験してほしいと。「地球上から早く核兵器をなくして」。その訴えを、どう受けとめたのだろうか▼核兵器廃絶を求める声がうずまく被爆地での開催。ところが、G7が出した核軍縮に関する「広島ビジョン」では、核兵器には役割があると存在を肯定しています。なくすための努力も決意もなく、核兵器禁止条約にも触れないで▼広島開催にこだわったという岸田首相はバイデン米大統領との会談で核の「抑止力」や「核の傘」にしがみつく姿を明らかに。沖縄に核攻撃の能力をもつ米軍戦闘機が配備され、広島には「核のボタン」が持ち込まれる。恥ずべき欺瞞(ぎまん)をさらしながら▼独学で学んだ英語を生かし、通訳としても被爆者の声を世界に発信してきた小倉さん。各国の外相にこう呼びかけたこともあります。「私たちは絶対にあきらめない。いつの日か、私たちの夢、核のない世界が実現する」。その思いをなんと聞く。


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