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2023年5月18日(木)

米軍基地周辺PFAS汚染

影響 数世紀続く恐れ

米大学チーム

 米軍基地で過去に使われた泡消火剤に含まれる有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)による地下水汚染をめぐって、監視対象外の前駆物質(PFASの前段階の物質)が大量に存在し、それがゆっくりPFASに変化することで、汚染の影響が数世紀も続く可能性があることが明らかになりました。

 米ハーバード大学などの研究チームが15日、科学誌『エンバイロメンタル・サイエンス・アンド・テクノロジー』に研究成果を報告しました。

 PFASは各地の水源で検出され、がん、免疫力低下などの健康影響が懸念されています。泡消火剤は主要な汚染原因の一つで、世界中の米軍基地で数十年にわたり使われ、周辺で高濃度のPFASが検出されています。

 研究チームは、「3M」社製の水成膜泡消火剤が使われた米軍ケープコッド基地(マサチューセッツ州)の消防訓練区域の汚染状況をもとに、汚染の持続期間や前駆物質の挙動を解析しました。その結果、土壌に存在する前駆物質が、微生物の活動で長期間かけて化学変化し、米国で法的規制の対象として検討中のPFAS6種類のうち「PFHxS」や「PFBS」の地下水濃度を引き上げることが分かりました。

 研究チームは、泡消火剤による汚染物質の多くが、通気帯(土壌のすき間が水で満たされていない領域)に保持されると指摘。通気帯の浄化ができなければ、下流域の地下水汚染が数世紀にわたり続くと警告しています。

 日本の米軍基地や工場周辺のPFAS汚染の実態を調べている小泉昭夫・京都大学名誉教授は「東京都内に汚染が広がっているPFBSなどについて、都の調査による地下水データが2011年度に発表されている。これを今回の論文と照らし合わせると、都内のPFAS汚染源が米軍横田基地である蓋然(がいぜん)性が高まったといえる。汚染源を除染しないと地下水は改善されない」と話しています。


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